「平均寿命までに半数の人が死ぬ」──○か×か? ほか全8問!

直感ほどアテにならないものはない
週刊現代 プロフィール

「当たり」の箱を見抜け

(8)宝物の入った箱を当てるには?

最後にとっておきの問題を紹介しよう。アメリカのTV番組がきっかけとなり、大論争を起こしたもので「モンティ・ホール問題」と呼ばれている。

右の図を見てほしい。目の前にA・B・Cの3つの箱がある。その中の1つに宝物が入っている。他の2つは空だ。あなたはどれか1つ、たとえばAの箱を選んだとする。だが、まだ開けてはいけない。

すると、出題者が残った箱のうち「Cは空だ」と発表し、その上であなたに対して、「箱を選び直してもよい」と告げる。

さて、宝物を獲得するためには、Bに選び直したほうがよいのか、それともAのまま変えないほうがよいのか。

たいていの人は、箱は2つになったのだから、どちらを選んでも、宝物が入っている確率は2分の1で、違いはないと答えるはずだ。しかし驚くことに、箱を変えたほうが断然有利なのである。

ポイントは、出題者が残りの箱から空のものを1つ選んで、発表するということ。出題者は宝物がどの箱に入っているかを知っているので、必ず空のほうを選ぶ。もし、Bが当たりで、あなたがAを選んだ場合、出題者はCと発表するしかない。その確率は100%となる。

ところが、Aが当たりで、あなたがたまたま最初に正しい箱を選んでいた場合、出題者にはBとCで選択の余地がある。Cを選ぶ確率は半分に減り、2分の1となる。

つまり、出題者がCを空だと発表する確率は、Aが当たりの場合より、Bが当たりの場合のほうが、2倍大きい。すなわち、あなたがAを選び、出題者がCを空だと発表したとき、宝物がBに入っている可能性は、Aの2倍ということになる。だからBに選び直したほうが得策だ。

この難問には、多くの反論が寄せられた。その中には数学者も含まれていたが、結局、このロジックに誤りはなかった—。

いかがだろう。人はいかに思い込みが多いか、気づいたはずだ。「直感」という近道にたよらず、じっくり考えてみれば、数字の奥にある真実が見えてくる。

「週刊現代」2014年12月27日号より

『 直感を裏切る数学 』
「思い込み」にだまされない数学的思考法

神永正博=著

発行年月日: 2014/11/20
ページ数: 256
シリーズ通巻番号: B1888

定価:本体  900円(税別)
     ⇒本を購入する(Amazon)
     ⇒本を購入する(楽天)
(前書きおよび著者情報は初版刊行時点のものです)