勝間和代×渡辺由佳里【前編】「具体的な目的のない努力は疲れるのでやめにしましょうよ」

具体的な目標のない努力はやめよう

勝間: 以前、ディスカヴァー・トウェンティワン社長の干場(弓子)さんに言われて、なるほどと思ったことがあるんです。私が書いた一連の勉強法のどこが珍しかったかというと、「アウトプット指向であること」だと言うんですね。「これこれこういうアウトプットを出すためには、どういう努力をするか」という発想です。

渡辺: ああ、なるほど。ちょっと脱線して申し訳ないんですが、夫がまだ企業に勤めていたころ、ある日突然「本を書きたい」と言い出したんです。そういうとき、彼はすごく自己分析する人なんですね。で、もともとある程度文章は書ける人だったんですが、本として出版できるレベルの文章を書くためには、ちゃんとしたトレーニングが必要だという結論を出した。すると、彼はすぐにリサーチをして文章の学校に通ったんです。そして、会社を辞めるまでは、出勤前の4時から6時までを執筆にあてていました。

彼のこの努力って、「具体的な努力」ですよね。自分に何が足りないのか、そしてそれを補うには何をすべきか、という発想。

勝間: そうです。逆に言うと、具体的な目的のない努力は疲れるのでやめましょうよ、ということですね。

0.2%の改善でいい

渡辺: 本にも書いたんですが、自分がいる環境(たとえば職場とか)がつらくてたまらない場合、選択肢は2つしかないと思うんです。その状況に留まったうえで、自分にとって過ごしやすい環境に変えるか、そこを去るか。このどちらかしかない。その場に留まって場を変えるためには努力しなければならない。でも、そこから去るためにもやはり努力をしなければならないんですね。

ところが、「努力せず、そこに残る」という選択をする人も、世の中には大勢いるわけです。でも、こうした「最初の小さな選択」が、だんだん道が分かれていって、50代くらいになるころには大きな差となって現れるというのが私の実感です。

勝間: なるほど。私はよく「0.2%の改善」と言うんですよ。ちょびっと変えていくのでいいじゃない、と。

私、Sという駅とTという駅の間に住んでいるんです。ふだんはS駅を使っているんですが、ある時、初めてT駅を使ってみたんですね。ひょっとしたらこっちのほうが便利かもしれないと思って。でも結局、T駅はやめたんです。なぜかというと、T駅に行くときは大きな幹線道路を2回渡らないとだめで、その都度信号で捕まっちゃうんです。あと最大の問題は、T駅には改札が2つあって、それぞれの改札の中にロッカーがあること。荷物を預けたのがどっちの改札のロッカーだったかを、毎回覚えておくのは私には不可能だと判断して(笑)、それでもうT駅は使わないというと結論を出しました。ほんとにささやかな結論ですが、私はこうやってちょびっとずつ生活を改善していくのが楽しい(笑)。

渡辺: ゴールを決めて努力をするとしても、ものすごく高いゴールを設定してしまう人が多い。でも努力って、小さいことの積み重ねでいいんですよね。高いゴールを目指せというのではなく、ほんのちょっと……。

勝間: そうそう。「S駅とT駅のどっちが便利か、歩いて確かめてみよう」とか、その程度でいいんですよ(笑)。

渡辺: そういうのって、やってみないとわからないですよね。

勝間: わからないです。