[アイランドリーグ]
巨人育成1位・篠原慎平、2年間登板なしから甦った不死鳥

~ドラフト指名選手紹介Vol.4~
スポーツコミュニケーションズ

引退覚悟の1球で見えた光明

 肩に負担のかからないフォームを修正し、翌13年、篠原は選手登録され、3年ぶりに公式戦のピッチャーズプレートを踏んだ。4月24日の高知戦では復帰後初先発で5回無失点。勝利投手にもなった。

「この時の喜び、達成感は果てしなかったですね。やっと戻ってこられた、と……」

 久々に味わう野球ができる充実感。ただ、それは次第に先に進む上でのハードルになっていく。
「本当はNPBに行くことが目標だったのに、投げるだけで良かったと感じている自分がいたんです」

 また投げられなくなるのは嫌。そんな心理を消し去ることができず、無意識のうちに全力投球にブレーキをかけていた。「これではダメだ」と頭では理解していても、体は痛みを忘れてくれなかった。23試合で3勝6敗、防御率4.12。復帰を果たしたものの、納得のいく内容と結果ではなかった。

「でも、1年間、投げられて満足というのも正直な気持ちでした。それなら、もう辞めようと思い始めていたんです」
 シーズンラストの登板、篠原は思い残すことがないよう、故障後初めてリミッターを外して投げた。「これで肩がぶっ飛んでもいい」と覚悟を決めた。

 渾身のストレートは自己最速(当時)の147キロを計時。予想以上の速球がキャッチャーミットに突き刺さった。
「しかも、肩は全くおかしくならなかったんです。これは、もっと行けるんじゃないか。自分の中で吹っ切れた瞬間でしたね」

 もう1年――。引退に傾きかけていた篠原は現役を続ける決心をする。迎えた今季、「1イニング限定で思い切って腕を振ってくれたほうがいいボールが投げられるかもしれない」との伊藤コーチのアイデアで抑えを任された。

「みんなの勝ち星をムダにしたくない。そう思うと、1イニングだし、自然と全力投球するようになっていましたね。すると球速も出るようになっていったんです」

 ストレートのMAXは153キロに達した。前期は40試合のうち、30試合に登板。4勝1敗9セーブで、防御率1.40はリーグトップだった。ウワサを聞きつけたNPBスカウトが再び右腕をチェックしに足を運ぶようになっていた。

 肩を故障してからケアには人一倍気をつかう。わずか1イニング、球数にして約15球のために、登板7時間前から肩を動かし、準備した。後期に入ってからは先発も経験し、長いイニングを放るスタミナも示せた。

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