【沿線革命004】
上野東京ライン開業で、東京以北の利便性をさらに高める提案

阿部等(交通コンサルタント)

東京や上野で座れなくなる

現在は、東海道本線なら東京、宇都宮・高崎・常磐線なら上野が始発駅なので、夕方でも出発10分前くらいから並べば座れるが、上野東京ライン開業後は、始発列車以外の多くは座れなくなる。

常磐線の取手までの快速以外はグリーン車(http://www.jreast.co.jp/tabidoki/green/about.html)が連結されており、グリーン料金を払えばたいてい座れるが、最短距離の事前購入でも平日770円、土休日570円掛かる。グリーン定期券1ヵ月は、東京から大宮49,700円、柏50,400円である。

普通列車のグリーン車は、東海道本線と横須賀線には戦前から連結され、昭和40年代には朝ラッシュ上りは通路・デッキまでビッシリになる程で、それでも普通車よりもマシと少なからぬ富裕層の人たちが利用していた。

1972(昭和47)年7月に総武快速線が東京へ乗り入れた際、千葉方面は湘南・逗子・鎌倉方面と異なり高価なグリーン車のニーズはないと判断され、普通車のみの最大13両で運行された。

その後、1980(昭和55)年10月に横須賀線と相互直通運転を開始した際から総武快速線にもグリーン車が連結された。私は「千葉県民が高価なグリーン車を使うはずがない。」とマスコミ報道されていたのを覚えているが、ふたを開けたら朝ラッシュ上りは立ち客が出るほどとなった。国鉄は10年近くも増収のチャンスを取りこぼしていたことになる。

さらに、2004(平成16)年10月に湘南新宿ライン、2006(平成18)年7月に宇都宮・高崎線、2007(平成19)年3月に常磐線と、首都圏の中距離各路線にグリーン車は拡大し、いずれも朝ラッシュ上りは立ち客が出ている。それほど、割増料金を払ってでも着席したいニーズは強い。

どこから乗っても座れるようにするには?

私は従来から、着席と立席は商品価値も生産コストも異なるのだから、価格差を付けるのが合理的であり、その料金は下の図のように低コストに収受できると提案している。

現在のグリーン車とICカードに近いイメージ

ICカードを読み取りにタッチすると座席が下りて、立ち上がると跳ね上がる(阿部 等著『満員電車がなくなる日』(角川SSC新書)より)

これにより、どの時間帯・どの列車・どの区間でも、着席割増料金さえ払えば着席できるようにできる。

着席割増料金は決して高額でなく、今の普通列車グリーン料金よりずっと低額を想定している。また、立席は現行の普通運賃より安くする。

理想的には、オークションのイメージで時間帯や区間により金額を上下させて常に座席の98%くらいが埋まるようにすれば、利用者の満足度も鉄道事業者の収益性も極大となる。経済学で言う厚生が最大化された状態だ。

これにより、利用者は納得のいく負担で着席サービスを受けられ、鉄道事業者は増収となり、沿線は住みやすくなる。