2014.12.19

クラウドファンディングに必要なマーケティング志向とは? 100万円以上集めたNPOの先進事例に学ぶ3つのポイント

加藤 たけし
セッションの様子

やはり2団体にも共通していた! クラウドファンディングの成功に欠かせない3つのポイント

2団体に共通する成功のポイントとしては、以下の3つが挙げられる。

1. 目標とKPIを設定して計画を練り、PDCAを回す土台をつくること

ほかの成功事例を調査・分析し、具体的な数値目標を設定し、それを実現するための具体的な施策を考える。事前の準備を怠らず、クラウドファンディング成功のための計画を立てることは重要である。「PDCAを回す土台」があったからこそ、次に述べる2番目のポイントを実現できたと考えられる。

2. PDCAを高速で繰り返すこと

両団体の発表内容を言い換えると、施策の「失敗の歴史」と言ってもウソにはならないだろう。周到なリサーチ、練りに練った戦略をもとに施策を実行しても、予想していた効果が得られず、計画通りのお金が集まらない・・・そんななかでも小さなトライ&エラーを繰り返し、細かな改善を重ねることで成功へとつなげている。PDCAを高速で繰り返した両団体の取り組みは、NPOのリーン・スタートアップ(高速仮説検証プロセス)と言えるだろう。

3. 最後まで諦めないこと

山本氏、門田氏が繰り返し強調していたのは「最後まで諦めないこと」だ。言わずもがな、クラウドファンディングは簡単にお金を集めることができるものではない。両団体とも、最後の1週間で調達金額を大幅に伸ばして目標金額を達成していることからも、最後まで諦めないことの重要性を伺える。最後の1週間はプロジェクトの注目度が高まる期間でもある。いかにこの期間に「効果が高い施策」にリソースを集中させ、ラストスパートできるか。クラウドファンディングの成否をわける大きなポイントだろう。

環境分析、顧客の設定、マーケティングミックス・・・高速でPDCAを回していくためのマーケティング志向

セッションのモデレーターを務めた私の感想も含め、この記事を締めくくりたい。クラウドファンディングを成功させるために必要なプロセスは、マーケティングのプロセスそのものであることを改めて実感する機会となった。

環境分析、顧客の設定、マーケティングミックスといったマーケティングの枠組みを理解し、一連のマーケティングプロセスを試行した両団体。何度も繰り返したPDCAのサイクルは、プロトタイピング、プレマーケティング、成果の効果測定を繰り返す「リーン・スタートアップ」そのものであり、まさに「マーケティング志向」が習慣化されている発表内容だった。

特に「PDCAを回す土台をつくる」ことに関しては、言うは易し行うは難し。実行できていない団体も、残念ながら多い。ADRA JapanとPLASの両団体は、具体的な施策とセットで「数字」を分析し、施策の効果を検証するための準備を徹底的に行っていたのは素晴らしいと思う。だからこそ、数字・ファクト・ロジックで物事を考え、限られたリソースを効果的な施策に「選択と集中」させ、クラウドファンディングを見事成功させることができたのではないだろうか。

READYFOR?が日本でローンチされ、クラウドファンディングが上陸してからまだ3年半。成功事例こそ増えてきているものの、再現可能なノウハウとして蓄積されているとは言いがたいのが現状である。今回、そのノウハウを余すところなく公開してくれた山本氏と門田氏が発表で使ったスライドは、SlideShareで共有してもらっている。このレポートですべてを網羅することはできないので、詳細はスライドを参照いただきたい。

事例報告資料:100万円以上達成!クラウドファンディングに必要なマーケティング志向(ADRA Japan ファンドレイジング担当 山本匡浩氏)――NPOマーケティングフォーラム2014 from NPOサポートセンター

100万円以上達成!クラウドファンディングに必要なマーケティング志向/PLAS発表資料(2014/11/29) from Ruiko Monda

関連記事