私だけが知っている「羽生結弦の真実」ブライアン・オーサーが明かした

読めば読むほど、なるほど。
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もちろん、まだまだ課題はあります。そのひとつはスタミナ面の向上です。ソチのときは時間がなく、基礎体力を上げるトレーニングができませんでしたが、平昌までは余裕がある。すでにユヅル用の特別プログラムを組み、過酷なトレーニングに取り組んでもらっています。

大人になってきたことに伴う、肉体的な変化にも注意が必要でしょう。彼は細く強いパーフェクトな身体を持っていますが、そこに筋肉がついてくると、バランスの取り方が変わってくる。さほど難しくはありませんが、変化の過程でユヅルが戸惑わないよう、サポートしていくつもりです。

また、彼は「ノー」と言うことも覚えないといけませんね。ソチの金メダルの後、多くの人がユヅルと関わりあいを持とうとし、優しい彼はそのすべてに対応しようとした。ときにそれは、トレーニングに支障をきたすほどでした。平昌オリンピックで勝ちたいのなら、ときには「ノー」と言って、自分の時間を大切にしなければなりません。

 

英語ももっと上達してほしい。彼は「Yeah」(同意を意味する返事)が口癖なんですが、これを言うときはだいたい理解できていないときです。「Yeah」と言ったときは、いつも説明する前と同じミスをしていますからね。だから最近は、ユヅルが「Yeah」と言ったら、「こっちにこい。話し合おう」と言うようにしています(笑)。そのかいあってか、ユヅルの英語力は日に日に上達していますね。

課題はありますが、ユヅルの今後に心配はしていません。オリンピック・チャンピオンになると、モチベーションを失ってしまう選手も多いですが、彼はまったくそうではありませんから。バンクーバーで金メダルを獲った後のキム・ヨナは、明らかに義務的に滑っていました。スケートを楽しんでいる様子は、まったくありませんでした。一方、羽生はまだまだスケートへの情熱があり、向上心があり、謙虚です。NHK杯後の、「悔しい」というコメント。あれこそが、ユヅルの人間性を象徴している。

ユヅルにはスターであることを楽しんでもらいたい。そして、再び金メダルを獲ってほしい。ユヅルならそれができますし、私はそのための手助けを全身全霊でやっていきますよ。

「週刊現代」2014年12月20日号より