私だけが知っている「羽生結弦の真実」ブライアン・オーサーが明かした

読めば読むほど、なるほど。
週刊現代 プロフィール

精神面での成長といえば、チームメイトのハビエルの存在も大きかったかもしれません。

ハビエルは'13年と'14年の世界選手権で3位に入ったトップ選手ですが、ユヅルとは正反対の性格です。

ユヅルはすべてに全力を尽くすタイプ。納得のいくまで練習をし続け、さほど重要ではない大会でも、すべて勝ちにいく。これは非常に日本人的な精神で、みなさんがユヅルを応援したくなる理由の一つだと思いますが、ときには力を抜くこともプロの世界では必要です。

その点、ハビエルは才能豊かですが、スペイン人らしく非常にマイペース。気分が乗らなければほとんど練習しませんし、転んでもさほど気にしません。

そんなハビエルと共に練習することで、ユヅルの心にゆとりが生まれました。タイプのまったく違うライバルが同じチームにいることで、良い方向に化学反応が起きたんです。

 

元々あった才能に、私のもとで技術と精神力が加わった。そうしてユヅルは、今年2月のソチオリンピックで、金メダルを獲得できたのです。

ユヅルはオリンピック・チャンピオンになったことで、さらに成長したと思います。

彼はいまや、世界のフィギュアスケート界を牽引していく存在になった。ユヅル自身にも、その自覚があります。だからこそ11月のNHK杯にも、出場を決意しました。

NHK杯は、直前の中国大会で怪我を負い、コンディションが整わない中での出場でした。トレーニングはしていましたが、「勝つため」ではなく、「回復させる」ためのものでしかありませんでした。

私は「NHK杯には出なくてもいい」と主張しましたが、彼は「絶対に出る」と譲らなかった。その決意を、私には止めることはできなかった。オリンピック・チャンピオンとしてのプライド、より進化したいという情熱があったのでしょう。17歳だった少年は20歳になり、たくましい男性に成長したのです。

ですから、4位という結果は、悲観すべきものではありませんし、12日から始まるグランプリ・ファイナルでは、みなさんが期待しているとおりの演技をできるはずです。怪我は癒えましたし、現在、トレーニング・スケジュールもきっちりこなしていますからね。

目標は2個めの金メダル

ただ、グランプリ・ファイナルはあくまで通過点であることも、みなさんには理解しておいてほしい。私たちが見据えているのはあくまで、4年後、平昌オリンピックでの金メダルです。ユヅルも私に、「2つ目の金メダルを獲りたい」とはっきりと口にしました。だからたとえグランプリ・ファイナルで期待されたような結果が出なかったとしても、それはユヅルの進化の過程と捉えてほしい。今後、様々なことを試しながら、4年後にガッツポーズができるよう、トレーニングを続けていきますよ。