実際、あらゆる動物実験で、食事の量を4割減らしたほうが1.5倍長生きすると証明されました。
林田 確かに空腹が続くと、交感神経優位の状態になり、記憶力が高まったり、仕事が捗るということはあるかもしれませんね。いわば「覚醒状態」とでも言いましょうか。
しかし、長生きに関してはあくまで動物実験です。その成果をそのまま人間に当てはめることを疑う声もあると聞きます。一時的であればいいかもしれませんが、長く続けると栄養の偏りが出て、逆に寿命を縮めるのではないか。
それは誤解です
南雲 栄養は「量」ではなく「質」です。食事をたくさん摂れば、必要な栄養素が必ず摂取できるわけではありませんし、どんな食事でも不足する栄養素は出てくるものです。
では、どうすればいいのかというと、一日1食でも、全ての栄養素をバランスよく含んだ「完全栄養」を摂ることがポイントになります。たとえば、小魚を丸ごと一匹食べたり、果物を皮ごと食べたりすればいいのです。私はみかんを皮ごと食べますから。
林田 何より、私が一番心配しているのは血糖値の変動です。食べ物を口にしない状態が長く続くと、血糖値が下がってふらつくことがありますよね。
南雲 それは誤解です。多くの方が勘違いしていますが、空腹の状態でも、血糖値は一定以下には下がりません。体の中の成長ホルモンやアドレナリンなどを総動員して脂肪を燃焼させ、たんぱく質も糖質に変化させていますから。
林田 しかし、問題はその後、食事を摂ったときの血糖値の上昇です。私の推奨する一日5食という食事法はここに大きな長所があると思っています。
南雲 長所の前に聞いておきますが、一日5回、ちゃんと食事を毎回摂っているのですね。
林田 一日5食といっても、もちろん毎食満腹になるまで食べるのではありません。空腹感を感じない程度に多食するということです。
肝心なのは、一日の総カロリー。これを把握して、一日の合計がそれを超えないように加減しながら食べていくというスタイルが重要なんです。私はこの食事法で、70㎏近くあった体重が58㎏になり、体調もずいぶんと改善されました。
南雲 やっぱり。5食と言っても、ご飯やおかずをしっかり摂るような食事スタイルではないのですね。