大西洋 第1回
「沿道の大歓声を一度は浴びてみたいと思い、去年、東京マラソンに出場しました」

島地 勝彦 プロフィール

大西 ところで、どうして柴田先生の万年筆と北方先生のパイプが一緒の額に納められるんですか?

シマジ 鋭い質問です。じつは若いころにわたしはシバレン先生からそのモンブランの万年筆をいただいたのですが、どうにも畏れ多くて使うことができませんでした。それで週刊プレイボーイの編集長になったとき、北方謙三に連載小説を書いてもらうことになったので「これで書いてください」と彼に差し上げたんです。

ところが、さすがの北方謙三もその万年筆を使うことはできなかった。しかしこのまま死蔵させてしまうのはあまりに勿体ないということで、「おれの愛用のパイプと一緒に伊勢丹のバーに飾ってよ」と、この間持ってきてくれたんです。

謙ちゃんはそのパイプを「黒いチューリップ」と命名していた。たしか同名の小説がアレクサンドル・デュマにあったと思う。1960年代のモンブランのペン先はクーゲルという丸い形をした珍品です。北方謙三は柴田錬三郎賞を獲っている大物作家ですから、シバレン先生も喜んでくれるでしょう。

ついでにいうと、謙ちゃんの凄いところは、直木賞を獲っていないのに直木賞の選考委員をやっているところですよ。

セオ そうなんですか。どうして北方先生ほどの方が直木賞を獲れなかったんでしょう。

シマジ セオ、鋭い質問だ。それは先輩作家のヤキモチだよ。こんなに売れている北方謙三に直木賞をやったら、ますます売れてしまうと妬んだんだろうな。

セオ へえ、そんなことってあるんですか。

シマジ お前は文壇には全く関わりのない編集者だからわからないかもしれないが、あの世界には摩訶不思議なことがいっぱいあるんだよ。

セオ あれ、大西社長のポケットチーフとシマジさんのポケットチーフはお揃いですね。

シマジ セオ、よく気がついてくれた。さっきからその言葉を待っていたんだ。これは「ぶどうチーフ」と命名して、もうそろそろサロン・ド・シマジのブティックで売り出す予定なんだ。ポップに「大西洋社長ご愛用のぶどうチーフ」と書いて売り出しますよ。