急増中! エラそうだけど下手な医者 患者が次々死亡する群馬大病院

「ドクターX」はいなかった
週刊現代 プロフィール

医者がミスをしても、全身麻酔をして手術台に横たわっている患者は、自分の身体に何が起こっているか知ることはできない。さらに、手術前に患者は同意書にサインをしている。そのため医者は、たとえ術後の経過が悪くても仕方のなかったことなのだと患者や家族を説得することができれば、責任を負う必要はなくなる。この「ブラックボックス化」こそ、「医者が失敗を繰り返す理由」の一つだ。

「治療がうまくいかなかった場合でも、医者は何とでも言い訳ができてしまいます。そもそも手術をするということ自体、重症だということですから。患者もはじめから『この医師なら結果がどうあっても納得できる』という人を探して手術を受けるべきです」

東京ハートセンター・センター長の南淵明宏医師はこう話す。冒頭で紹介した群馬大病院でも、医師は患者の異変を正当化していたようだ。群馬大病院の広報担当者が明かす。

「うちの病院には、医療安全管理部という部署があり、些細なことでも何か起こったら報告しなさいというルールになっています。病院のスタッフは誰でも届け出できるのですが、正直、手術中のことは医者でないとわからない。執刀医が『おかしい』と思わないと報告が出てこないんです。今回のケースも、報告しなくていい、と医師が甘い認識をしていた」

医者がおかしいと思わなければ報告されないどころか、この仕組みなら、現場の医者が異変に気づいていても、報告しなければ事故が明るみに出ることはない。

このように、医者が責任を逃れやすいことも「医者が失敗を繰り返す理由」の一つだが、さらに、こんな医者の心理も関係している。

「より難しいことをやってみたいという医師は多いと思います。誰もやってない手術を成功させて手柄を上げたいというのが本音なのです」(前出・南淵医師)

外科の場合、お腹を大きく切る開腹手術は古くから行われてきたが、最近は、腹腔鏡手術のように「低侵襲」と言われる「小さい傷で身体に優しい手術」が新たな治療法として広まりつつある。開腹手術ではベテラン医師に勝てないと思い、若い医師たちが新たな治療法をやりたがる傾向にあるのだが、ここに大きな落とし穴がある。南淵医師が続ける。

「開腹手術を経験していない医者が、小さい孔から器具を入れる腹腔鏡手術をすることには、以前から批判があります。開腹したら2時間でできるものを、傷の小さい手術で7~8時間かけてやるなんて、本末転倒。どこが低侵襲?と首をかしげてしまいます。腹腔鏡でも全身麻酔をしますし、お腹をガスで膨らまして手術するので、時間がかかれば身体への負担は大きくなります。とくに心臓への負担は大きいですね」

身体に優しくても、安全で確実に治療できなければ意味がない。前例のない治療をやってみたいという思いが先に立って、訓練もそこそこに最新の手術を行う。これも、失敗する医者が急増している一因だ。