第5回ゲスト:北方謙三さん (後編)
「シマジさんはまず、自分の価値観とは正反対の世界を書いてみることです」

島地 勝彦 プロフィール

「俺にホレたら低温火傷するぞ!」

北方 結局、男と女は恋愛を通して自分自身を見ているんだ。だから、関係が変わると見えてくる自分も変わってくる。そこに違和感を覚えれば別れるのも仕方ない。

島地 でもしばらくすると不安になって、別の関係を求めるわけだ。

北方 別れたばかりで心にすき間を感じるなら、俺が埋めてやってもいいぞ。でもな、これだけはいっておく。「俺にホレたら低温火傷するぞ」。

助手 低温火傷ですか!? どういうことだろう、気になります。

島地 若いヤツみたいにガツガツいって大火傷はしないけど、気がつくとじんわり火傷している。しかも、低温火傷は治るのに時間がかかる。

北方 男女の格言は他にもあるぞ。「恋はポタージュスープだ。飲み始めは熱すぎる。飲み終わりは冷たすぎる」。

助手 それは身に沁みてわかります。昨日はたしかに冷たすぎました。

北方 今日なら温めてやってもいい。でも、

島地 俺にホレたら低温火傷するぞ!

北方 そう。これはね、一人の女に繰り返し使ったほうがいいんです。「またいってるわ」と思われても使う。そして、いざ関係がおかしくなって「ヒドいじゃない!」といわれたら・・・。

日野 「俺にホレたら低温火傷するぞ!」といっただろう、と。

北方 そして葉巻に火をつけて、すべてを煙と一緒に吐き出して、終わる。

島地 そうやって、今までどれだけ低温火傷させてきたのやら。