第5回ゲスト:北方謙三さん (後編)
「シマジさんはまず、自分の価値観とは正反対の世界を書いてみることです」

島地 勝彦 プロフィール

北方 スペインにとても詳しくて、特に闘牛に対する情熱はものすごく強いんですが、それを作品に書くと本人の思いだけが空回りしてしまう。結局、スペインものはまったくダメ。でもマンションのローンを払わなくちゃいけない。そんなとき、ある編集者から官能小説か時代小説といわれて、官能はわからないからというんで時代小説を書いてみたら、それが大当たりしたんです。

彼はずっとスペインにこだわっていたから、江戸時代のことなんて最初はほとんど知らなかったんですよ。でも、大事なのは物語に魅力があるかどうかであって、時代考証なんて二の次でいいんです。だからシマジさんも、自分の得意なところに距離を置いて、無縁な世界から入ってみたらいいと思います。

カメラマンの助手が加わり、文豪の様子が一変

日野 文豪にここまで親身にアドバイスを受けたら、やらないわけにはいかないですね。その節はぜひ講談社から。あ、今日はカメラマンが先に失礼させていただくそうです。もちろん写真はバッチリ押さえてあります。

北方 おう、そうか。お疲れさん。その助手の女の子は置いて行ってもいいぞ。

島地 出た! 日野、これから作家・北方謙三の別の顔が見られるぞ。

日野 別の顔って・・・。え? ちょっと、ホントに置いていくんですか?

北方 まあいいじゃないか。君はキレイな目をしてるから、ずっと気になってたんだ。

助手 ほんとですか。ありがとうございます。素敵なおじさま2人とご一緒できるなんて、緊張しますね。

島地 カメラマンの助手ということは、当然、写真家志望なんだよね。それにしても君の手は小さい。それで大きなカメラを持てるのか?

北方 どれ、ちょっと見せてごらん・・・(と、スマホを取り出す)。