【沿線革命001】
東京の鉄道新路線・新駅は五輪までにこう進化する

阿部等(交通コンサルタント)
阿部 等

現状の鉄道の実力

東京ですら、少なからぬ移動は自動車に頼らざるを得ない。そもそも、朝ラッシュや深夜の満員電車を筆頭に、鉄道の利用者の全てが万全の満足度を持っているわけではない。

近年、各鉄道事業者は、列車ダイヤが乱れた場合に遅延証明書をホームページで発行している。例えば東京メトロはこのようになっている。それらを日々集計すると、各路線の定時性を定量的に把握できる。東京圏のそれを示したのが下の表だ。

通勤電車の遅延は、まだまだ改善の余地がある
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2ヵ月間の平日38日の朝ラッシュのデータを取り、遅延証明書が1日も発行されていない路線はほとんどない。発行日の割合が60%以上、さらには80%以上の路線も多い。

つまり、東京の鉄道の多くは、朝ラッシュに定常的に定時運行できていないのである。朝ラッシュの混雑は、1960年代をピークにかつては今よりはるかに激しかった。当然ながら定時運行もできていなかった。日本の鉄道の定時性は、海外と比べれば高いものの、胸を張れるほどは高くないのが現実である。

本コラムの目指すこと

鉄道は自動車と比べて高いポテンシャルを持つが、それを十分に発揮できていない。朝ラッシュや深夜の満員電車を筆頭に、鉄道の利用者の多くは相当の不満を持っている。

批判を覚悟であえて申上げよう。東京の鉄道は、毎日続く満員電車をシンボルに1970年頃の技術レベルとサービス水準である。関係者を非難するために書いているのではない。社会の進歩から遅れた分、鉄道は改善のネタを膨大に持ち、大きな伸びしろがあると言いたいのである。

2020年東京五輪を機に、50年分の遅れを取り戻し、21世紀に相応しい技術レベルとサービス水準に引き上げたい。そして、その答えは海外にはなく、我々日本人が自ら創り出し、実践し、世界の範とならなければいけない。本コラムでは、現状の東京の交通の不充分な点を示し、その解決に向けた計画や構想をご紹介するとともに、新たな解決策を提案していく。

ずいぶんと大言壮語したが、本気でそう思っている。そして、新しい時代を拓く答えを、読者の皆様と一緒に創っていきたい。著作やネット上でのインタビュー、各所での講演や大学での講義において、私の話は突っ込みどころ満載のようで、たいてい多くの質問や反論が出る。それにより、私自身も多くの気付きを得られる。

本コラムでは、読者の皆様の自由な質問や意見をお受けする(http://light-rail.blog.jp/archives/1014464871.html)。また、紹介した現状の計画や構想について、お気づきの点があったら、ぜひご指摘願いたい。すべての投稿に目を通した上で以降の執筆の参考とさせていただく。

次回からは、具体的な新駅や新路線の計画や構想のご紹介と、より良くするための提案に入っていく。

阿部等(あべ・ひとし)1961年生まれ。東京大学 工学部 都市工学科卒。88年にJR東日本に入社し、保線部門を中心に鉄道の実務と研究開発に17年間従事。2005年に同社を退社し(株)ライトレールを創業、交通計画のコンサルティングに従事。2008年『満員電車がなくなる日 鉄道イノベーションが日本を救う』を上梓した。日経ビジネスオンライン「地下鉄24時間化より満員電車の解消を」「低運賃が日本の鉄道をダメにしている」に対しても、多数の意見がネットを賑わしている。FacebookとTwitterにて実名で情報発信し、いずれも交通を中心にお堅い話題に徹している。交通や鉄道の未来を拓きたい方のために、交通ビジネス塾(http://www.LRT.co.jp/kbj/)を主催し、工学院大学オープンカレッジ鉄道講座(http://www.LRT.co.jp/kogakuin/)の事務局を務めている。
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