「派閥争いにうんざり。転職したい!」そんなあなたにお薦めの会社とは?

『社内政治の教科書』第3回
高城 幸司

派閥がない会社はどこか?

では、派閥がない会社はどこか?

私が紹介したのは国内系かつ創業オーナー系の製造業の会社。「この会社であれば派閥に振り回されることはありませんよ」と自信をもって推薦しました。すると、Aさんは不思議そうな顔をして「オーナー系企業に外資系から転職するのですか? 風土的に無理がある気がしてならないけど……」と回答。私の提案に納得できていない様子。

ところが、Aさんは面接を受けて内定、入社に踏み切りました。そして、現在は元気に楽しく仕事をしています。

なぜなら、社長が圧倒的な権力をもって君臨するオーナー系企業では、派閥の活動がほとんど見られないからです。すべての決定権はオーナー社長が握っています。まさに鶴の一声。

・役員人事だけでなく全社員の人事
・事業に関する新規投資の判断
・オフィス移転のような予算のかかるイベント

これらはすべてオーナーの判断次第。オーナー社長以外が賛成していた事案でも、「でも、それは何となくやらないほうがいいと思うよ」とオーナー社長が発言すれば、「そうですね、やめておきましょう」と全員が同意します。そんな絶対君主制のような政治が行われている会社はたくさんあります。株式の3分の2を保有しているオーナーであれば、あらゆる決議権を保有します。そんなパワーを備えているオーナーに対抗する役員・社員などいません。ゆえに、社内はシンプルなワントップ体制に収まるのです。

そのような会社では、派閥が公然と存在することはできません。オーナー社長の価値観に反する言動をすると制裁が加えられ、徒党を組むような動きを見せればパージ(一掃)されかねないからです。

そんな環境が、Aさんにはぴったりだったようです。絶対君主であるオーナー社長に絶対服従していれば、それ以外のことに気をつかう必要がありません。しかも、オーナーの判断がすべてですから、意思決定も早い。オーナーに好かれるか認められれば出世できるわけですから、評価基準が明確だともいえます。そんな会社に勤務することで、ストレスが綺麗になくなってしまう人はいるのです。

オーナー社長に「仕える」ことができれば、派閥争いからは解放される

もちろん、いいことばかりではありません。

オーナー系の化粧品会社に勤務する知人がいます。仕事はマーケティング部門の役員。ただし、役員といっても権限はないも同然だといいます。なぜなら、オーナーが広告宣伝に関して相当に細かいことまで自分で決めるからです。そのため、自分の思いどおりに仕事をするというわけにはいきません。

しかも、オーナーの無茶振りにも黙って対応することが求められます。「オーナーから深夜に携帯電話にかかってくるなんてザラ。慣れるまで大変でしたよ」こういって、愚痴をもらすこともあります。

彼の口グセは「仕える」。まさに、オーナー社長に「仕える」のが、彼の仕事なのです。しかし、オーナーが決めたことを忠実にこなしていれば、仕事はスムーズに進みますし、役員の地位が揺らぐことはありません。