現地で徹底調査 何でも日本一福井県に学ぶ「幸福な暮らし」の秘密

小・中学生の学力&体力1位、社長輩出率1位、女性の社会進出1位の実力を見よ!
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その住みやすさは、こんな数字にも表れている。自殺死亡率の低さは全国2位。日も沈みかけた夕方に改めて東尋坊を訪れたが、この日は風も弱く、自殺の名所として知られる場所とは思えないのんびりとした雰囲気が漂っている。この場所で、自殺者を救うためのボランティアをしている森岡憲次さんに声をかけた。

「ここは確かに自殺する人も多いけど、福井の人は10人に1人もおらんよ。理由はよう分からんけど、やっぱり雪国だからみんな粘り強いんとちゃうかな」

のどかな街で暮らす地元の人々は、気持ちまで穏やかになるらしい。

次に、教育について見てみよう。全国学力テストの結果は、中学生で全国1位(小学生は2位)。体力テストは小学生で男女とも1位(中学生は男女とも2位)という成績を誇っている。

その理由は何か。福井県の教育について取材し『ネコの目で見守る子育て』の著書もあるライターの太田あや氏は、地域と学校、家庭の3者が同じ価値観で教育に携わっていることが理由ではないかと話す。

「驚いたのは、先生方がものすごく熱心で、親御さんもお子さんも、先生を非常に尊敬しているというところ。モンスターペアレントも少ないと聞きました。

福井は、学校で出される宿題の量が多いのですが、家庭での学習が習慣づいています。三世代同居が多いので、自宅で親や祖父母が宿題をするのを見守るんです。宿題で基礎的な学力がしっかりつくため、塾へ行く子も少ないですし、受験のために塾で勉強しなくてはと考える子もほとんどいないと思います」

学校での課題をこなしていれば自然と学力はつくので、学習塾へ行くために部活を辞める子も少ない。体力テストの結果が良いのも、勉強と運動のバランスが取れた教育が行われているからだろう。

孤独を感じることがない

福井県は寿命も長い。男女平均は83・71歳で全国2位。「要介護認定を受けている高齢者の割合も低い」(福井県観光営業部・忠田稔生氏)と、元気で長生きする高齢者が多い。これは、よく働くことと、地域の密なコミュニティが強く影響しているという。

「福井は兼業農家率も一番高く、高齢者がよく畑仕事をしています。また、引きこもっている高齢者が少ないのも影響しているでしょう。高齢になって自宅に引きこもると、すぐに身体は弱ってしまいます。女性と違って男性は近所付き合いが苦手な人が多いですが、福井では自分が生まれた市町で一生を過ごす人が非常に多い。だから、近所に小学校の先輩・後輩が普通にいて、男性も地域にネットワークを持っているのです。これが、福井の平均寿命を延ばしていると思いますね」(前出・塚本氏)

永平寺町にある福井大学医学部附属病院を覗いてみた。東京都内などの病院では常に待合室は満席、話し相手を求めて高齢者が病院に集う姿がよく見られるが、ここは、拍子抜けするほど人がまばら。福井は近所付き合いが密なため、わざわざ病院へ行って話し相手を探す必要がないのだ。