現地で徹底調査 何でも日本一福井県に学ぶ「幸福な暮らし」の秘密

小・中学生の学力&体力1位、社長輩出率1位、女性の社会進出1位の実力を見よ!
週刊現代 プロフィール

福井では、繊維のほかメガネや越前和紙、漆器など多くのものづくり産業が地元に根付いている。その現場を訪ねた。福井駅から車でおよそ30分走ると、鯖江市に到着する。国内製メガネフレームの約90%がここで生産される日本一の「メガネの聖地」だ。駅前や陸橋など街の至るところにメガネのモニュメントが飾られている。

中心街から少し外れた場所にあるメガネ材料商社・キッソオ。最近、メガネフレームの材料を使ったアクセサリーや雑貨を独自ブランドで販売し、注目を集めている企業だ。出迎えてくれたのは、シンプルな茶色いフレームのメガネが似合う同社の吉川精一社長。

「福井のメガネ産業の始まりは、明治時代に遡ります。増永五左衛門という人が大阪から職人を招き、農家に冬場の副業として、メガネのフレームや部品を作らせたり、販売をさせたり、分業体制を築いた。この方式がいまも続いているんです。

ここは昔ながらの商売魂を持った人が多いですね。鯖江のメガネ産業にはまだまだ潜在力がある。私のような若手経営者たちが、今後地域のブランドをどう確立していくか、力を合わせていかなくてはと思います。夢は、鯖江をスイスのバーゼルのようにすることですね。バーゼルでは、時計や宝飾品の見本市が開かれ、毎年世界中の関係者が訪れるんです。鯖江でメガネの展示会を開き、世界に認知される場所にしたい」

福井に本社がある企業の社長のうち、福井県出身の社長は93・5%。地元を盛り上げていこうと熱い想いを抱く経営者は多い。

積極的な女性が多い

経営者だけではない。福井県民は、地元愛が強く、大学などで一度福井を出たとしても、「働くなら福井に戻りたい」と思う若者も多いのだ。前出のセーレン社長・結川氏はこう話す。

「うちの会社は、社員の90%ほどが福井県出身者なんです。応募してくる学生も圧倒的に福井出身の方が多い。地元の企業に就職したいと希望してくる傾向が強いと感じますね」

県民に地元志向が強いだけでなく、働き場所が多いというのも、福井に若者が集まる理由の一つだ。

「メガネにしろ和紙にしろ、福井の伝統的な産業は、手作業が必要とされるものが多いので、福井には働く場所はたくさんあります。有効求人倍率は全国トップクラスで、同時に失業率も非常に低いんです」

福井県立大学看護福祉学部准教授の塚本利幸氏はこう話す。さらに福井は、女性の社会進出がずば抜けて進んでいる。

「共働き世帯は56・8%と全国1位。福井では、女性は働いて当たり前という感覚です。1960年代頃から福井で盛んになった繊維業は、女性の働き手が多く求められたので、女性の社会進出が同時に浸透していったのです」(塚本氏)