ケンブリッジで身につく、自ら学問の世界を切り開き、自分を磨く「独学」の力

<現地レポ>ケンブリッジ授業潜入
オックスブリッジ卒業生100人委員会
科学のラボ実習の様子

講義の他、ラボ実習も充実している。大抵の科目は2週間に1回、昼前から夕方までの実習がある。これもまた科目によってスタイルも位置づけも違う。例えば化学や物理の実習ノートは採点され、最後の成績に何割か反映される。その場では点数がつけられない科目は、実習内容が最終試験でテストされる。多くは授業の内容と関連し、教わった知識やテクニックを実験や計算、実物の観察を通じて実際に応用する場であった。実習で私は化学者の実験要素を身につけたり、初めて岩石顕微鏡から見る岩石の驚きを知ったり、 解剖したネズミの動脈を心臓からたどったりした。時間的に大きなコミットメントではあったが、私にとっては毎週大切な半日であった。

このようにケンブリッジの授業は行われ、死に物狂いで付いて行こうとしなければ置いていかれてしまう。だが、努力をすれば最終的には多くの知識と達成感が味わえる。このレベルと密度の高さはケンブリッジが長年にわたって築きあげてきた教育理念の誇りであるだろう。

地理学で学ぶ世界観:文と理の混合

NatSci とは、また少し違うアプローチをとる科目として、地理学をここに紹介しよう。地理学というと、一般的に国や首都、川や山、また地質を思い浮かべる人が多いかと思う。日本の場合、47都道府県とその県庁所在地を覚えたという人もいるかもしれない。だが、ケンブリッジ大学では、地理学とは、とてつもなく幅広く、多くの分野をあらゆる観点から学ぶ科目なのだ。「地理」という社会全般に流通している言葉の裏には、幅広い学問の世界が広がっている。

ケンブリッジ大学の地理学部

地理学は、大きく分けて自然地理学と人文地理学に分けられる。自然地理学とは、地球の自然現象やメカニズムを追求する科目であり、ケンブリッジの学士過程では火山学・氷河学・気象学・生態学・海洋学・第四紀科学等を含む。もう一つの人文地理学とは、社会学・経済学・政治学・文化学・開発学等を追求する。多くの科目を理系・文系と分けることが多いが、地理学に関しては、文理系という表現の仕方が適しているのかもしれない。もちろん、文系寄りや理系寄り、と専門性を高めていくこともできるが、両方のバランスをとりながら受講する生徒も少なくない。

膨大な量の本と向き合う日々

講義の仕組みはNatSci同様の一時間形式で行われる。また、自然地理学を専攻するとラボ実習などもある。おそらく、地理学の一番の特徴は、文理系というコンプレックスな構成である。よって、文系並みの読書量がある上、理系よりの数式などとも向き合う。各講義につき10冊~25冊の本に加え、10~20件ほどの論文のリストが渡される。スーパービジョンに向けて、これらを自分で読み込み、学問への理解度を高める。多い時は、1週間で100冊を超える文献のリストが渡されることもある。もちろん100冊を1週間ですべて読むことは不可能だが、エッセーの提出にはより多くの文献を読み、幅広い観点を理解した上での分析を提出することが必要不可欠になってくる。そのため、多くの本に囲まれ、図書館で長時間過ごす日々が続く。