「農地バンク」結局はただの看板の書き換え

農地の大規模化を促すため、政府が農地を借り受けて、これをやる気のある農家などに貸し出す―そんな「農地バンク(農地中間管理機構)」構想に暗雲が垂れ込めてきた。

朝日新聞(11月6日付)が、農地バンクが今年8月までに集めた農地が、来年3月までに集める予定の目標値の0・4%にまでしか達していないと報じた。記事中で農水省は、「農地の貸し借りはコメの収穫後の冬に本格化する。これから大きく増えていくと考えている」と話しているが、もちろんそううまくいく話でもないだろう。

農地バンクは安倍政権の農業改革の目玉の一つである。こうした政策を農水省が持ち出すときには、ポチのマスコミを集めて、特ダネだとしてリーク、懇切丁寧に説明する。農水省担当のマスコミも、日頃から他の経済官庁に比べていいネタが少ないので、ここぞとばかりに飛びつく。両者の関係は、とにかく目玉政策をうまくプレイアップすることで協力関係になっていて、マスコミのほうに政策を批判的に取り上げようなんていう気持ちはサラサラない。

となると、過去にすでに行われていて手垢にまみれた政策でも、新たなネーミングを付されて、素晴らしく、これまでにない画期的なものに見せかけることは可能になる。

実は、農地バンクと同様な政策はこれまでに何度もあった。

まず、農地保有合理化事業である。これは、離農農家や規模縮小農家などから農地を買い入れまたは借り入れし、農地の売り渡しまたは貸し付けを行うものだ。農地バンクと同様の農地保有合理化法人が47都道府県に設置されている。それらを束ねる親玉の全国農地保有合理化協会は、農水事務次官の天下り先だ。

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