沖縄県知事選は、予想以上の大差で翁長雄志・前那覇市長が仲井真弘多・現知事に勝ち、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設が、大幅に遅れるのは避けられなくなった。
この結果を受けて、菅義偉官房長官は「移設は粛々と進めて行く」と述べた。その理由は、「普天間基地の固定化は、絶対避けなければならない。それは政府と沖縄の共通認識であり、辺野古の移設が唯一の解決策だ」というものだった。
しかし、粛々とは進まない。
辺野古移設工事を発注する防衛省沖縄防衛局は、仲井真氏が「移設容認」に切り替わったことで、当初、強引な仕掛けで移設工事に対する反対を乗り越えようとした。
典型が、『しんぶん赤旗』(8月10日/17日合併号)がスクープした移設に伴う「本体準備工事」を、極秘に大成建設に発注していたことだった。
同紙に暴露したゼネコン関係者は、「6月上旬に入札が行われ、大成建設が50数億円で落札した」と、明かしている。その事実を突き付けられた沖縄防衛局は、「本事業の適正な執行に支障を及ぼす恐れがある」と、答えている。
ボーリング調査への反対運動などを念頭に置いていたのだろうが、やがて公開された入札結果で浮かんだのは、本土ゼネコンによる官製談合疑惑だった。
入札日が6月6日。応札企業と入札金額は以下の通り。
・大成建設 55億2000万円
・鹿島建設 60億2400万円
・清水建設JV 60億5000万円
・大林組JV 72億円
予定価格は56億3558万円。従って大成建設以外は、予定価格を超過しており、自動的に大成建設の落札が決まった。スーパーゼネコン4社の話し合いと官庁関与の官製談合を疑うことができる。