新ポータル構想「Syn.」の新しさは「インターネット利用の難しさをなくすこと」---KDDI・森岡康一氏が語る「スマホ時代の課題」

佐藤 慶一 プロフィール
シンドット構想に参加している11社(これにニュース「報道ヘッドライン」A3(KDDI)が加わる)

シンドットはFacebook Japan初期と重なる

シンドット構想の発表後、賛否両論があった。なかなかコンセプトや目指すところが伝わりづらいということもあるが、そもそも広がりをみせるかどうか。森岡氏はFacebook Japan時代と照らし合わせる。2010年当時、日本における同サービスのユーザーは約80万人しかおらず、「日本のインターネット文化では実名制サービスは絶対に流行らない」とまで言われたという。

日本においてFacebookの実名制が広がるきっかけとなったのは、リクルートと提携してリリースした就活生向けの機能「コネクションサーチ」だった。同じ業界を目指す就活生や内定者とつながることや、OB・OG訪問なども可能になったことで、実名を生かした実例を示すことができた。このことも寄与したのか、森岡氏がKDDIに転職する2013年10月までにユーザー数は2000万人ほどに到達した。

「日本のインターネット文化とはなんなのか、と言いたい。いったい誰なのか。当時インターネットを語れるのは、(mixiやTwitterなどを利用する)2000万人弱でした。日本には約1億人のインターネットユーザーがいるのに、マイノリティでインターネット文化を語れるのかというと難しい。残り8割のネットをいぶかしいと思っている人が本当のインターネット文化なのかもしれない。シンドットでは、全体をしっかり見据えながら、着実にやっていきたい」(森岡氏)

続いて西村氏は、700万ダウンロードを超えるニュースアプリ「グノシー」の例を挙げ、大きなマーケットに向かう考え方を紹介する一方で、「シンドットには新しさがないような気がするが」と投げかけた。「最初のスタートはこれでいいのかな。使い始めるとなんとなくわかってくるのかなと思います」と森岡氏は答えた。

森岡氏はシンドット構想を「山手線」に例える。「駅が点在しているが、それらをつなぐものがなかった。いまは、線路をつないだ段階。かならずしも山手線に乗ってくださいというものではなく、地下鉄でもタクシーでもバスを使っていい。ただ、山手線を使うと便利だよ、最寄り駅をもっと便利にしよう、ということ。シンドットが浸透すると(インターネットを使う)難しさがなくなることが、新しいのではないか」。

シンドットはいま、「志と目的地を共感してくれた」企業・サービスといっしょに実例をつくっている段階。まだ構想の狙いや価値をファクトに基づいて説明することができないため、大きな、あるいは著名なサービスを巻き込めてはいない。しかし、構想発表後、多数の問い合わせがあり、すでにビッグネームの参加も決定しているという(具体名は明かされなかった)。

年明けからはDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)に各社のデータを集約・蓄積し、コンテンツにフィードバックしていくとのこと。将来的にはオープン化して、プラットフォームとして機能させる。参加企業・サービスを増やし、ユーザーが好きなものを設定するかたちを想定しているという。そこに向け、いまはシンプルな機能を着実に浸透させていく段階だ。