生きるか、死ぬか。この戦いを制した者が日本を制する セブン-イレブ ンvs.アマゾン 流通大戦争——「黒船」を日本から放逐せよ!

週刊現代 プロフィール

同社は2四半期連続で赤字を出していますが、それは物流インフラ構築を中心に将来への投資をしているからです。圧倒的な物流インフラを作り、顧客の利便性を格段に上げれば、競争に勝てると彼らは考えています」(戦略物流専門家でイー・ロジット代表の角井亮一氏)

アマゾンが大規模な物流システムにこだわる理由には、創業者ジェフ・ベゾス氏自身の経験が深く関わっているという。アマゾンの日本法人立ち上げをベゾス氏に提案し、アマゾン・ジャパンの創業者として業績をあげた西野伸一郎氏はこう説明する。

「ベゾスは創業当時、注文を受けてから書籍を取り寄せ、顧客に配送するというごく普通の通販サービスを行っていました。

ところが、事業を始めてみると、商品がお客さんの手元に届くのが遅かった。その苦い経験から、自社で物流システムを持ち、大量の在庫を抱える今のスタイルを作り上げていきました」

アマゾンの強みは、この強力なシステムを駆使した「スピード」だ。ネットで商品をクリックすると、ほとんどのモノが翌日には顧客の手元に届く。

何故、アマゾンはそのような迅速な配達サービスを実現できるのか。物流会社のコンサルタントを行うロジコンシェル社長の近藤正幸氏は、こう説明する。

「現在、アマゾンは宅配でヤマト運輸、メール便で日本郵便の2社と契約をしています。通常、運送会社は発送元へ荷物を受け取りに行った後、自社の最寄り営業所に一旦持ちかえり、そこで方面別に仕分けをして大きな中継地点へと運びます。

しかしアマゾンの場合は倉庫へ集荷に来たトラックは最寄り営業所を通らずにダイレクトに中継地点まで行き、そこから商品を消費者に届けている。これがアマゾンの迅速な配達サービスを可能にしているひとつの理由です」

他社を取り込み、他社を使って強固な配達システムを構築したアマゾン。これに対し、「自前」でそれを可能にするポテンシャルを持っているのが、セブン&アイHDだ。前出の並木氏はこう語る。

「セブン-イレブンは、全国に広がる各店舗に毎日商品を運搬しています。それだけの規模の流通を自社のネットワークだけで可能にできるのは、同社くらいでしょう。このノウハウは、グループの商品を物流ラインにのせるオムニチャネルでも、そのまま利用することができる。これは、最終的な配達をヤマト運輸や日本郵便に委託しているアマゾンでは真似できない武器になります」

最後に勝敗を分けるもの

さらに、セブン&アイHDが持つ既存の物流ラインを利用すれば、オムニチャネルはさらに効率化するという。並木氏は続ける。

「鈴木会長は出版取次のトーハン出身で、現在も同社の取締役に就いている。そのため、セブン-イレブンに運ぶ雑誌はトーハンの流通網を利用しています。通常、商品を店頭まで運ぶコンビニトラックは荷卸しのみのワンウェイ。しかし、トーハンのトラックは返本を載せて帰るため、往復便です。オムニチャネルが発達すれば、このトーハンの便に返本と一緒にセブン&アイHD通販の返品商品も載せることができ、より効率的な物流が可能になります」