生きるか、死ぬか。この戦いを制した者が日本を制する セブン-イレブ ンvs.アマゾン 流通大戦争——「黒船」を日本から放逐せよ!

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それに対し、セブン&アイHDがオムニチャネルで流通ラインに乗せる商品目数は、現在のところ300万品目にとどまる。アマゾンと比べれば現時点での商品の数量で大きく遅れをとっている。

アマゾンにはない武器

しかし、アマゾンはネット通販をメインとする会社である以上、実店舗を持たないという弱みもある。

「アマゾンはニューヨーク・マンハッタンに初の実店舗を出店する予定ですが、現時点ではゼロです。それに対してセブン&アイHDは全国に1万7000店あるセブン-イレブンを中心に、グループ会社のイトーヨーカ堂やそごう・西武、食品スーパーのヨークベニマル、子供用品の赤ちゃん本舗など全国に実店舗を持っています。

例えば、セブン-イレブンを訪れる客数は全国で1日におよそ1700万人に及びます。実態のないネットではなく、実店舗まで足を運ぶ顧客を持っているというのは、セブン&アイHDにとって大きな武器でしょう」(専門誌記者)

セブン&アイはこのオムニチャネルを打ち出す以前から、周到な買収でグループを拡大してきた。

「鈴木会長は、オムニチャネルを打ち出す前年の'12年から、『ネットとリアル店舗の融合』という言葉を頻繁に使うようになりました。

もともと買収に積極的ではなかったセブン&アイHDが、通販会社のニッセンや雑貨店のフランフラン、アパレルのバーニーズなどに対してM&Aを実施して傘下に収めたのは、それ以降のことです。これは明らかにオムニチャネルを見据え、グループが扱う商品のバリエーションを増やそうという意図があります。おそらく今後もM&Aを積極的に行っていくのではないでしょうか」(前出の元幹部)

この買収劇はグループの品目を増やす以外にも、あらゆる年齢層の顧客がセブン&アイHDと接点を持つきっかけにもなったという。

「アマゾンを利用する顧客は、ネットを使う年齢層に限定されてしまう。しかし、セブン&アイHDは実店舗がある以上、この買収はより幅広い客層とつながるきっかけを作りだせます。

さらに流通に目を転じれば、両社は顧客のもとに商品を送り届ける方法がまったく違うことが分かる。両社は、流通システムそのものが異なるのです」(前出の専門誌記者)

アマゾンは強固な流通システムを築き、より速く顧客に商品を届けることで成長してきた。同社は昨年9月から稼働した、延べ床面積6万坪という「小田原フルフィルメントセンター」を中心に、全国12ヵ所に点在する巨大な倉庫を持つ。それらを拠点に、全国への即時配送を行っている。

「2012年の時点で、アマゾンが全世界の物流網構築に投じた投資額の累計は1兆4000億ドル(およそ160兆円)を突破したと言われています。