プロ野球「戦力外通告」の男たち2014 ロッテ・GG佐藤 オリックス・東野峻 広島・齊藤悠葵ほか

週刊現代 プロフィール

石井が戦力外になるのは今回で2度目だ。1度目は、'11年に西武から通告されている。

圧倒的な打撃センスを誇る石井は、打席に立ちさえすれば、ヒットを放った。ただ、バッティングとは裏腹に、守備はあまりにもお粗末だった。お手玉やトンネルを繰り返す石井を、レギュラーとしては起用しづらかった。そこで西武は、石井を切り、安定してレギュラーを張れる若手を育てていく選択をしたのだ。

「もう、やっていけない」

なぜ俺が—。当時の石井はそう憤慨し、絶対に見返してやるという決意のもと、トライアウトに挑んだ。

その気迫に投手が気圧されたのか、ヒットはなかったものの7打席立って3つの四球。左の強打者を探していた巨人の目に留まり、見事返り咲いた。

それだけに、「もう一度」という声はある。だが、石井が下した決断は、バットを置くという選択だった。

「西武で戦力外を受けたときとは、心境が全く違います。というのも、若手の成長が嬉しくなってきてしまったんです。以前は、周りの選手はみなライバルだと思っていた。しかしいまは、私のアドバイスで若手が結果を出すと、喜んでいる自分がいたんです。これでは、もう選手としてはやっていけない」

俺は誰にも負けない。その自負こそが、天才・石井を支えてきた。だからこそ、それが失われたいま、男は戦力外通告を受け入れた。

石井の今後の身の処し方はまだ決まってない。ただ、教える楽しさを知った石井は、「指導者としての道」を模索するという。

石井同様、身を引く道を選んだ男がもう一人。ロッテから戦力外通告を受けたGG佐藤(36歳)だ。

「来るべきときが来ただけです」

そう語る佐藤に、落ち込む様子はない。

佐藤は'13年にロッテに入団し、昨季は30試合に出場したものの、今季の一軍出場はゼロだった。

佐藤がクビを宣告されたのは、今回で4度目だ。

1度目は、大学卒業後に挑戦したアメリカのマイナーリーグで。2度目は'11年に西武から。3度目は転機を求めたイタリアのプロ野球リーグで受けた。

「さすがに、4度目となるとどんな感じで伝えられるのかもわかるものですね。ファームでの優勝を決めた試合の後、宿舎に戻ってくると球団から電話があり、『会議室に来てくれ』と。そして本部長から『来季は契約しないから』と言われました。素直に受け入れました」