プロ野球「戦力外通告」の男たち2014 ロッテ・GG佐藤 オリックス・東野峻 広島・齊藤悠葵ほか

週刊現代 プロフィール

今後、どうするのか。

「戦力外通告を受けた直後は、これで辞めようと思いました。トライアウトを受けてどこかに拾ってもらったとしても、また切られるかもしれない。その恐怖があったんです。でも、お世話になった人達に報告していくなかで、みんなが『まだやれる』と言ってくれた」

妻はいつでも味方だった

周囲の励ましにより、東野の気持ちは徐々にトライアウト受験へ傾いていった。なかでも大きかったのは、巨人時代の先輩・内海哲也の存在だ。

「内海さんには怒られました。僕は'10年に勝利数で内海さんを上回り、'11年には開幕投手を奪う形になった。だから内海さんは、『お前は俺を抑えてエースだったんだ。お前が辞めると俺も張り合いがなくなる。だからもう1回活躍しろ』と言ってくれたんです」

さらに'10年に結婚した4歳年上の妻もまた、東野の背中を押した。

「妻には『辞めたい』と言いましたが、彼女は『好きなようにしたら』と。ドライに聞こえるかもしれませんが、どんな選択でも支えるという、彼女の優しさを僕は感じました。

それでやっと、とりあえずトライアウトに全力で挑もうと決意することができた。どうなるかわかりませんが、ひとまずトライアウトまで頑張ってみる。その気持ちは固まっています」

当たる光が強いほど、そのぶん、影は大きくなる。今年も、華々しいクライマックスシリーズ(CS)や日本シリーズの裏で、次々と戦力外通告がなされた。

ある者は不振や怪我で。ある者はチーム事情で。クビを切られる理由は様々だが、男たちはみな、球団からの突然の呼び出しに言葉を失った。

これまで、人生の全てを野球に捧げてきた男たちは、その道が断たれたいま、何を思うのか。そして、どんな「次の一歩」を決断するのか。

「打撃の天才」と称された一人の強打者もまた、今オフ戦力外通告を受けた。巨人の石井義人(36歳)だ。

プロ18年間での通算打率は、・290。2年前のCSファイナルステージでは、中日を相手にサヨナラヒットを放ち、CSMVPも獲得した。

だが今季は調子を落とし、一軍での出場はわずか7試合だった。

「肉体的、体力的には、衰えはあまり感じていません。ただ、技術的な面が落ちてきてしまった。感覚の話なので説明するのは難しいですが、ボールに対し、自分のイメージ通りの動きができなくなったんです」