「サードウェーブ」の上陸と「昭和レトロな店」の復活!
カフェ業界で今後生き残る店とは?

鈴木誉志男(株式会社サザコーヒー会長)×高井尚之(『カフェと日本人』著者)
鈴木誉志男, 高井尚之

高井 最近は手狭なセルフカフェではくつろげずに、コーヒーの値段が高くても、居心地を重視する人も増えました。私は〝セルフカフェ疲れ〟と呼んでいますが、それに伴い、東京都内でも昭和型の重厚な喫茶店が目立ってきた。大手でも名古屋発で首都圏に店舗拡大を続ける「コメダ珈琲店」がスタバ、ドトールに続く3強の一角を占め、コメダに対抗してドトールが「星乃珈琲店」を、銀座ルノアールが「ミヤマ珈琲」を展開しています。

鈴木 当社は店によって多少手法を変えています。JR勝田駅前の店は半セルフサービスです。モーニングサービスは全店しておりません。都内での店舗展開はイメージアップも目的ですが、茨城の地方のコーヒー屋が理想高く美味しいコーヒーを売っている。茨城県では地域一番企業になろうと思ってます。

高井 本店を訪れると平日の昼下がりでも満員で、「あら会長、こんにちは」と中高年の女性客から声をかけられていたのが印象的でした。地元の大規模マラソン大会には無料でコーヒーをふるまい、口の悪い常連客からは「タダコーヒーだ」と言われているとか(笑)。

鈴木 参加者が2万人ほど集まる勝田市民マラソンですね。コロンビアには勝田ライオンズクラブから中古の消防自動車を4台贈っており、そのお礼に毎年コーヒー豆が届く。天候不良で届かない年もありますが、こうした豆や契約農園から買った豆でコーヒーを淹れて参加者に振る舞うのです。地元金融機関の株主優待品に当社の豆を選んでいただくなど、地域とは持ちつ持たれつの関係です。熱烈なラブコールに応えた形で、今年の4月には茨城大学の図書館内に「サザコーヒーライブラリーカフェ」もオープンしました。

45年にわたり店を続けられた理由

高井 全国のカフェ・喫茶店は7万454店あり(2012年現在)、5万店強あるコンビニの1.4倍ですが、店の新陳代謝が激しい。若い店主の参入も多いですが、2~3年で行き詰まるケースも目立ちます。サザコーヒーが45年にわたり続けられた理由は何ですか?

鈴木 いつも差別化を考えていました。飲食の味以外に、独自の魅力づくりで「サザコーヒー」ブランドをつくろうと取り組んできたのです。リピーターになっていただく努力もしました。来店されるお客さまと向き合うと、疲れていて店でホッとしたい、癒されたい人も多い。疲れを癒して活力を取り戻してもらおうと、接客サービスにも力を入れています。

 また、コーヒー生産国の文化を伝えようと考え、本店内にはパプアニューギニアの巨大な木製仮面やアフリカの仮面を置き、パナマとコロンビアに住む少数民族・クーナ族の手芸であるモラも飾っています。店の入口にはギャラリーがあり、食品や雑貨の販売もしています。

 息子の太郎(副社長)には東京農業大学を卒業後、グアテマラのスペイン語学校に通わせ、コロンビアの国立コーヒー生産者連合会の味覚部門でも学ばせました。おかげでスペイン語が堪能になり、現在は買い付けも担当。海外の大会では国際審査員も務めています。彼を中心に、店ではコーヒー職人「バリスタ」の育成もしています。