40歳以上のひきこもりは100万人!なぜこんな国になったのか

200社応募しても採用されない人たち
西村博之, 池上正樹

ひろゆき まあ、プログラマってそういうタイプの人は多いですよね、実際。なので、わりともう、プログラマの中で「ああ、このタイプね」ってみんな慣れているから、そんなにいまさら驚かない。

彼の机が(オフィスの中に)いちおうあるんですけど、机はあんまり好きじゃないって言って、いつも廊下の隅っこで作業をしている。お客さんが来ると、「なんスか、あれ?」となるんですが、「いや、あそこが好きみたいで」と。

池上 なるほど。そういう才能を認めて、あとは「こういうタイプの人なんだ」とみんなが理解すれば、社会から排除されることもないですよね。

ひろゆき 彼の場合は、面接してないんですよね。

池上 ええっ、そうなんですか?

 

ひろゆき プログラムをネット上で公開していて、「あっ、これおもしれっ」となって声をかけたんです。そうしたらなんか、もともと青森にいたんですけど、なんかすごく(給料が)安いから「東京に来たい」って。

月給12万円とかだったかな。プログラマとしては優秀なんですよ。で、東京来たいって言うから、会って話したら、「おっ、こういうことか」って思ったんです。

コミュニケーション能力の問題があって、給料が極限まで下げられていたのかもしれません。まあ、プログラム能力はわかっているので「ああ、全然いいよ」ということでいま東京で働いているんです。

さぼっているわけではない

池上 ほかにもそういう人っていますか。

ひろゆき けっこういますね。話しかけても返事が返ってこないとか。

池上 普通の会社だとその時点で難しくなりますよね。

ひろゆき その彼の場合も、うちでやろうとしているシステムがあって、それがわかる人がいないかなと思ってネット上で探したら、それに関するプログラムを趣味で公開している人がいたんです。メールでやりとりしている分には普通だったんですよ。

で、東京に来てもらってはじめて会った時、話しかけても返事が返ってこないんです。でもまあ、「プログラムが書けるからいいや」ってことでいま東京にいるんですけど。

ひろゆき 彼も、(僕が)「こうしてください」と言うと、2~3時間後とかに突然メールで返事がぽっと返ってくるんです。それまでなにか、いろいろ考えている時間があるんでしょうけど、それを突っ込んでもしようがないので。

池上 自分のペースというかリズムがあって、それに周りと合えば大丈夫なんですよね。納期とかノルマはあるんですか。

ひろゆき うちの会社内のシステムなので、遅れても誰かが困るわけでもないので。ただ、彼はアウトプット能力があることがわかっているし、悪意があってさぼっているわけもない。

単に時間がかかるだけだから、「待っていればいずれ上がるだろう」と割と気楽に見ていられるんです。

池上 そういうことを周囲が気づくと、違いますよね。本人たちもいきいきしてくるし。

ひろゆき 実際、能力値はめちゃくちゃ高いんですよ。ほかのことにあんまり興味を持たないので。その、女性を追いかけたりすることも特にないし(笑)。 たんたんと10時にきて7時に帰るという毎日をまじめに繰り返してくれるので。

池上 そういう能力を見出して、それが本人たちのペースで活かせるように周りが配慮すると、きっと職場でもうまくいく人たちもいる、っていうことなんでしょうね。

ひろゆき 面接の練習をするぐらいなら、ゲームを作れるんだったら、ゲームをネット上にボンボンあげていけ、と。で、それを見た会社の人とかが「あ、これおもしろいじゃん」「能力あるよね」となれば、必ず声がかかるので。

池上 ネットにはそういうマッチングの場があるんですか?

ひろゆき (特段あるわけではないが)まあ、「こういう感じのゲームを作れる人がいないかな」って探している人は多いので。

たとえば、いままで「これぐらいゲームを作りました」って200個とかあったら、絶対声かかるじゃないですか。「おっ、コイツすげーじゃん」ってなるじゃないですか。で、それで別に面接がヘンでも、ゲームを作る能力はあるんだから、それでいいじゃん、という会社は多いので。

池上 なんでも自分に得意なものがあるんだったら、ネットにバンバン公開していけばいい、ということですね。

ひろゆき 面接で人と話をして切った張ったで何とか乗り越えるっていうタイプじゃない人たちは、(ネット上とかに)ほかの人が見える形で実績を示し、それをもとに戦うっていうのは、いいと思いますね。

池上『大人のひきこもり』でも触れたのですが、僕は、ひきこもり問題を解決するために必要なのは、「就労支援」ではないと思っています。

それよりはむしろ、本人たちが自主的に動き出すことであり、その入り口となる「居場所」づくりと、一緒に考えながら道なき道をつくり続ける「伴走」のような関わり方こそが大事なのではないかと常々思っていたのですが、まさにその通りであると言えそうですね。

<以下、後篇につづく>

ひろゆき (西村/博之)
1976年、神奈川県生まれ。中央大学卒業。1999年、米国留学中にインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設、2009年に海外企業に譲渡するまで管理人を務める。動画共有サービス「ニコニコ動画」をはじめとする、多くのウェブサービスの立ち上げと企画・運営などに携わる。おもな著書に『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』『僕が2ちゃんねるを捨てた理由』(いずれも扶桑社)、『ホリエモン×ひろゆき語りつくした本音の12時間 「なんかヘンだよね・・・」』(共著、集英社)、『そこまで言うか! 』(共著、青志社)、『オンナは苦手。』(共著、李白社)、『ソーシャルメディア絶対安全マニュアル』(インプレスジャパン)ほか多数。
池上正樹 (いけがみ・まさき)
1962年、神奈川県生まれ。大学卒業後、通信社勤務を経て、フリーのジャーナリストに。おもな著書に『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『ドキュメントひきこもり』(宝島社新書)、『痴漢「冤罪裁判」』(小学館文庫)、『ふたたび、ここから 東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)、共著書に『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(同)がある。現在、ダイヤモンド・オンラインにて「「引きこもり」するオトナたち」を連載中。