「はやぶさ2」打ち上げ目前、緊急出版!
世界が注目する日の丸プロジェクト、
その全貌を徹底解説!
「はやぶさ」で得た貴重な経験をもとに、「はやぶさ2」はいかに進化したのか。目指すは太陽系と生命の起源を解く鍵を握るC型小惑星「1999JU3(リュウグウ)」。地球から3億キロメートル離れた小惑星へ、総飛行距離52億キロメートル、往復6年にわたる新たな宇宙大航海が始まる!
プロジェクトマネージャー國中均教授をはじめ、研究者たちが語る開発秘話、驚きのエピソード満載。東映映画「はやぶさ 遙かなる帰還」の原作となったベストセラー『小惑星探査機はやぶさの大冒険』の著者による渾身の科学ドキュメント!
まえがき
小惑星探査機「はやぶさ」が、およそ7年、60億キロの大宇宙航海を終えて地球に帰還したのは2010年6月13日のことでした。
その日の夜、私はオーストラリアのウーメラ砂漠のただ中で「はやぶさ」の劇的な地球帰還と最期を見届け、震える思いを味わいました。一部の人たちに限られていた「はやぶさ」への理解や関心は、この劇的な帰還によって一転、日本中が「はやぶさ」に熱くなる日々が始まりました。「はやぶさ」が持ち帰り地球に送り届けたカプセルは、同年7月から2012年4月まで全国69もの会場で一般公開され、のべ89万人が来場するなど「はやぶさ」熱は長く続き、日本人の宇宙への関心を深める大きな貢献を果たしました。
私は、「はやぶさ」が帰還した翌月、その7年間の奮闘を描くノンフィクション作品『小惑星探査機はやぶさの大冒険』(マガジンハウス)を出版しました。この本は、読者の皆さんから大きなご支持をいただき、東映映画「はやぶさ 遥かなる帰還」の原作にもなりました。
「はやぶさ」は、数多くの故障やトラブルの連続でぼろぼろになりながらも、カプセルを地球に送り届けましたが、その姿は人生になぞらえて擬人化され、人々に大きな勇気や共感をもたらしました。それが映画化の理由でもありました。その一方で、本来の使命である小惑星の科学的な解明や、サンプル分析の経緯については、一般にはほとんど知られないまま今日に至っています。前著『小惑星探査機はやぶさの大冒険』も、
「2010年7月、カプセル内に100分の1ミリ前後の微粒子を100個以上確認した。分析には数ヵ月かかる見込み」
で、終わっています。その微粒子が小惑星「イトカワ」由来のものかどうか、もしそうだった場合どのような発見があるのか、それが明らかになったのは出版後のことだったからです。
「はやぶさ」帰還から5ヵ月後の2010年11月16日、期待していた発表がありました。
「はやぶさ」が持ち帰ったカプセル内の微粒子は小惑星「イトカワ」由来であると確認できたという発表です。「はやぶさ」のミッションはサンプルリターン(小惑星の物質を持ち帰ること)が最大の目的ゆえ、それを成し遂げることができたというすばらしいニュースでした。
この日はカプセルの帰還に続く「はやぶさ」の第2のゴールとなったのです。