徹底取材「幻の1号患者」で明らかになったこれが現実!殺人・エボラ大流行日本は絶対に防げない

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—でも、もしその人がエボラ患者の疑いがあるなら、警察官も準備が必要では。

「滞在歴と接触歴が確認されていれば、我々も防護服を着ますし、警察官にも着用してもらいます。まだ暴れる方への対応訓練はしていませんが、体液に触れないよう訓練はしています」

10月24日には厚労省がエボラ対策を強化。西アフリカの流行地域に3週間以内の渡航歴のある全員に、1日2回の体温測定と結果報告を義務付けるなどの手を打っている。違反した場合の罰則規定も存在するが、正確に体温を測っているか、実際に測定結果を報告してくるかは、本人任せだ。

また、性善説に基づく対策には不安も残る。日本に渡航してくる外国人にも、善き市民もいれば、順法意識に欠ける人もいるからだ。

実際、'13年6月には六本木の外国人クラブで18歳未満の女子高生を雇ったとして、経営者のシエラレオネ国籍の男性が警視庁に逮捕されている。シエラレオネは現在もっともエボラでの死者数が多い西アフリカの最流行地域。日本とは遠く離れているとはいえ、人的交流を止める術はない。

「県警が対応?誰が言った」

さらに不安を募らせているのは、実は羽田や成田、関西国際空港や中部国際空港のような大規模な空港ではない、中小の地方空港だ。

日本国内では全97空港のうち、29空港で国際線が就航している。たとえば新潟空港では上海、ハルビン、ソウル、ハバロフスク、グアムなど複数の国際線が日々発着している状況だ。

東北地方の、ある地方空港を担当する検疫官は、こう話す。

「東北地方ではエボラ患者を受け入れる指定医療機関が岩手と山形、福島にしかない。検疫官だって海の港やらと兼務で2~3人というところも多い。とても準備が足りません。実際に感染疑いの人が出たら、今回の羽田のようなスムーズな対応は絶対にできない」

この検疫官がとくに心配だと話すのは、中国からの観光客だ。地方空港の国際線は、中国の経済発展を当て込んで地元が積極的な誘致をしている例が多いこともあり、中国で拡大する中間所得者層の格安日本ツアーでの利用者が多い。

一方で中国は近年、資源獲得などのためにアフリカに100万人を超す人々を派遣し、大規模な公共工事を受注するなど結びつきを深めている。また広州市には50万人ものアフリカ人が暮らす「黒人村」と呼ばれる場所もある。

エボラの潜伏期間の研究で知られる、米国ドレクセル大学のチャールズ・ハース教授はこう話す。

「いまエボラの感染拡大は主に欧米を中心に広がっている。ただ、渡航者の統計を見ると、アフリカと中国の人の行き来は非常に多い。中国と日本の人の往来も多いことを考えると、中国経由でウイルスが入ってくる可能性も否定できません」