徹底取材「幻の1号患者」で明らかになったこれが現実!殺人・エボラ大流行日本は絶対に防げない

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結局、BSL4での稼働に必要な、厚生大臣による「一種病原体等取扱施設」の指定は受けられないまま。村山庁舎ではBSL4での運用が法的にも行えないことになり、前出のような珍妙な見解をひねり出さなければ、検査もできない異常事態が生じてしまった。

村山庁舎から600mほどの場所に住む男性は、こう不安を口にした。

「日本のどこかにはなきゃいけない設備でしょうが、ここにあるのはおかしいですよ。エボラは空気に漏れて広がるウイルスじゃないというけれど、いくらなんでも、小学校の真裏だもの。

それにね、私は週末よくサイクリングに出るんです。ここは東京の水がめのひとつである多摩湖まで自転車で15分くらいと近い。多摩湖からは都心にも水を送っています。それを考えても、ここに危険なウイルスが来る仕組みは変えたほうがいいんじゃないか」

たしかに、村山庁舎から約2・5㎞の場所にある人造湖・多摩湖からは、都心の千代田区などに給水する境浄水場と、新宿区、渋谷区などに給水する東村山浄水場に水が送られている。

「素人考えかもしれないけど、僕がテロリストだったらここを狙いますね。村山庁舎からウイルスを盗んで、ちょっと走って、多摩湖に捨てるだけ。それで首都全域が大混乱だ」(前出の近隣在住の男性)

不安が残るのは、脆弱な検査態勢ばかりではない。本誌は、日本へのエボラ上陸を防ぐ、水際対策の最前線、空港の検疫関係者にも取材を行った。

羽田空港での検疫を担当する東京検疫所の検疫衛生課長、横塚由美氏に訊いた。

—水際対策としては、まず流行国への渡航の有無と、発熱の感知になりますね。

「発生国から来られた方は健康相談室でお話を聞いています。滞在歴を聞いた上で、接触歴を訊ねます」

—滞在歴や基準以下(38℃以下)の発熱などは基本的に自己申告ですね。患者と接触していても、最長潜伏期間とされる21日以上経っていれば隔離されない。

「意図的に逃げる人を捕まえるシステムではありませんので、基本的には性善説でやっています。第三国経由などで意図的に逃げられれば、(検疫で)漏れるかもしれませんが……」

—せっかく観光で日本に来たのに、いろいろ訊かれるのは面倒だという外国人の方もいるんじゃないですか。相談室で話を聞いている段階では強制力はない。途中で席を立たれたら止められないのでは。

「実際、発生国から来た方で、『なぜ私だけ行かせないのか』と怒った方もいますね。現場の検疫官はかなり苦労していますよ。なかには怒って暴れる人もいます。アフリカ系で体格のいい方などは日本人と体格差もあるので大変です。あまりに激しい場合は空港警察官に来てもらいます」