徹底取材「幻の1号患者」で明らかになったこれが現実!殺人・エボラ大流行日本は絶対に防げない

週刊現代 プロフィール

冒頭の看護師の話に戻ろう。彼女が勤めるのは、エボラ出血熱を含む、危険な第一種感染症に対応できる特殊な設備・スタッフを擁する医療センターだ。それなのになぜ、内部で困惑の声が上がったというのか。彼女はこう指摘する。

「一般の人はあまりご存じないでしょうが、いまの日本の態勢では、エボラ出血熱の本格的な治療・研究はできません。患者さんから採取した血液から、エボラ・ウイルスを分離して、その性質を調べたり、どんな薬が効くのか調べたりすることができないからです」

医療先進国・日本は、富士フイルムの子会社が開発した抗ウイルス薬アビガン錠がエボラ治療にも効果を発揮するのではと国際的に期待されるなど、世界をリードする研究を行っているように思える。

だが、現場の医療従事者には、「本格的な治療ができない」とフラストレーションが溜まっている。いったい、どういうことなのか。

エボラなど危険度の高いウイルスは、世界保健機関(WHO)が定めるバイオ・セーフティ・レベル(BSL)の最高ランクであるBSL4に分類される。

日本国内で、このBSL4のウイルスを扱える設備が整っているのは、国立感染症研究所の村山庁舎(東京・武蔵村山市)と、理化学研究所バイオリソースセンター(茨城・つくば市)の2ヵ所だけだ。

このうち、エボラ感染疑いの患者が出た際に、患者の血液などの検体を受け入れ、ウイルスの有無を確認するのは、国立感染症研究所村山庁舎になる。

ところが、この国内唯一の検査機関である村山庁舎が、現状では「ほとんど使えないのと同じ」だと前出の看護師は話す。

「周辺住民の反対などで、BSL4の施設として国の指定が受けられていないんです。だから、今回も緊急避難的に、珍妙な論理で検査をするしかなかった」

実は今回、厚労省は次のような「珍妙な」見解を打ち出している。

〈エボラ疑いの検体は、エボラ・ウイルスが入っているか分からない状態だから、法的にはBSL4で扱わなければいけないとは限らない。BSL3として対処し、実際にエボラ・ウイルスが入っていると分かれば、そこからBSL4とする〉

エボラと分からないうちは研究者が取り扱えるが、エボラと分かった瞬間に扱えなくなる—。

つまり、ウイルスがあるかないかの確認まではできるが、あると分かった瞬間に、治療のための具体的な研究は何もできなくなるということに他ならない。

さらに、ひとたびエボラ患者と判明した人の血液を再度、検査することができないため、治療が功を奏して血液中のウイルスがほとんど消えていたとしても、それを確認することもできない。要するに、

「エボラとして入院したが最後、たとえ治っても退院の可否が判断されない」