オックスブリッジの高等教育の強み~考えて、調べて、書いて、論じる「スーパービジョン」

オックスブリッジの学部教育Ⅱ
オックスブリッジ卒業生100人委員会

 スーパービジョンの実際の流れ

ここでは、実際にスーパービジョンがどういう流れで行われるのか、教育学部の例をもって説明したい。

①スーパービジョンの前:考える・調べる・書く

スーパーバイザーから提示されたいくつかのテーマの中から書きたいものを1つ選び、レポートにする。オックスブリッジのレポートは授業の復習と文献調査から始まる。

さっそく、図書館に行き、調べる。もちろん、講義時のノートやスライドも参考にするが、それだけでは足りないので、より幅広く文献を読み込む。

テーマに対しての自分の考えを論じることが求められているので、調べたことをまとめるだけでは許されない。

「参考文献リストが短すぎる。最低でも文献は8冊以上読みなさい」と注意された経験から、本を山積みにし、参考文献を入れながら、論文を書く(写真参照)。24時間あいているカレッジの図書館が多いこともありがたい。Wi-Fiやパソコンの設備も整っており、オンラインで文献を読めるのも助かる。実際に校内のあちこちで、本を山積みにして朝まで論文を書き続ける学生の姿を見かける。論文提出の期間は1週間、長くても2週間ほど。他の講義からの課題もあるため、1週間で論文を2〜3本書くこともある。論文の長さは大体1500〜3000語である。

スーパービジョンの論文が出来上がるまで

② スーパービジョンで:議論力

論文を提出した数日後に、スーパービジョンがある。自分の書いた論文を要約し、発表する。その後、スーパーバイザーから採点された論文を返却される。

「ここは文献をうまく使って論じることが出来ているので、よかった」「ここが論理的にできていないから、もう少し文献を使うとか、他の言い方を考えるなどするといい」といったように、細かいフィードバックをもらうことになるが、これで終わるわけではない。ここからが、議論力の試される場になる。論じた分野について、あるいは論文で不透明だった事などについての議論が始まるからである。

「なぜそう思うの?」「なぜそうなるの?」と繰り返されるので、自分の意見を持っていないと、議論にならない。自分の感想を言うのではなく、文献や理論にもとづいたもの、あるいは、的確な例を通して、自分の意見を言わなければならない。「日本ではどうなの?」と聞かれることも多かった。その度に戸惑いながらも、自国のことを知ることと、それを他国の人に理解してもらうために発信することの重要性を学んだ。また、自分の意見をしっかり持たないと相手と深い討論が出来ないことも痛感した。クラスが数人の場合でも、必ず各自が意見を言わなければならず、発言できない生徒には、「もっと積極的に論じるように」という厳しい注意がされる。実際、討論に参加できないと置いて行かれたような虚しさを感じる。討論がヒートアップし、課題とはあまり関係のないことや答えがないテーマなどについて、1時間以上話し合うこともしばしばある。

すなわち、スーパービジョンは積極的かつ自発的に議論をする場なのである。スーパーバイザーが偉い教授だからと遠慮することは許されない。

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