経済的成功の裏にある苛烈な競争主義---シンガポールにおけるローカルスクールの教育制度

岡村 聡 プロフィール
シンガポールローカルの教育制度の概要

幼少期から優秀な生徒を選抜してリソースを注ぎ込む

GEPはあくまで希望する生徒だけが対象ですが、シンガポールのローカルスクールでは小学校を卒業するタイミングで全員が「PSLE(Primary School Leaving Examination)」を受けます。このテストで、上位からExpress、A、Tという3つのカテゴリーに分類されます。

図にあるように、このテストの結果は、その後の人生を大きく左右します。また、この結果は2年前まで新聞でも大々的に報じられ、成績優秀者は名前と顔写真入りで紹介されていました。一方、最低スコアも開示されていたので、下位の成績者も自分が下位から何%に位置しているのか大体わかるようになっていました。

このテストのプレッシャーはものすごく、成績が伸びないことを苦にして自殺する子供たちも出るなどしたため、現在では成績優秀者のメディアでの発表や最低点の公表は取りやめられています。

また、シンガポールの教育制度があまりに学力偏重という声が多かったので、現在ではPSLEのスコアに加えて、スポーツや芸術で秀でたスキルを持っている生徒はこれらのスキルも加味されて評価される制度になっています。シンガポールのスポーツや芸術のレベルは低いので、日本人の子供はこれらの分野で容易にアピールできるようです。

GEPに認定された子供たちは、当然、PALEのスコアも総じて高く、ほとんどが図表にあるIP(Integrated Programme)への直接進学もしくはExpressに認定され、順調にいけば大学に進学していきます。シンガポールでは大学の数が少ないため、国民の大学進学率は40%以下と、日本などほかの先進諸国と比較して低くとどまっています。ただ、20年前の大学進学率はわずか10%程度だったので、この数字でも大分改善しているのです。