二宮寿朗「対世界を見据えたマッチメークの重要性」

二宮 寿朗

日本代表そのものの価値向上を

 東南アジアの地に赴いて世界の強豪と戦うというパターンは、今後増えていくに違いない。
というのも、ヨーロッパの事情が大きく影響している。ヨーロッパは現在、EURO2016(フランス)の予選が始まっている。以前なら公式戦の日程が空いた「インターナショナルマッチデー」にブラジルやアルゼンチンをはじめとした別大陸のチームとも対戦していた。しかし、UEFA(欧州サッカー連盟)は、公式戦がない場合でも日程の空いたヨーロッパのチーム同士で親善試合を組むことを決定。別大陸のチームがヨーロッパで試合をすることが難しくなったという状況がある。無論、日本にしても同じ。その対策が急務となっているのだ。

 またUEFAは2018年から親善試合の代わりとして「UEFAネーションズリーグ」を立ち上げて代表チームのリーグ戦を行なうことを表明している。ヨーロッパ勢との対戦はより困難になってくるのだ。
 そこで日本が強豪の胸を借りるなら、南米、北中米のチームとの試合がマッチメークの中心になっていきそうな気配がある。その場合、ホームに呼ぶばかりではなく、アウェーまたは中立地でそれらのチームと戦うということを念頭に置かなければならない。

 日本は特に南米諸国とのパイプが太く、今後は「東南アジアでアルゼンチンと対戦」というプランも十分に考えられる。ブラジルに対してもリマッチの可能性はあるだろう(ブラジルがオファーを引き受けやすい状況をつくるには、試合で苦しめなければならかったが……)。
 世界的に人気の高いブラジル、アルゼンチンと戦うカードだからこそ東南アジアも開催地として名乗りを挙げることができる。だが、もしそれ以外のチームとの対戦を「中立地」で模索するなら、日本代表の価値そのものを上げていかなければならない。

 そう考えると、来年1月に行なわれるアジアカップ優勝は至上命題だ。アジア最強という称号がなければ、日本代表に対する東南アジア諸国の興味も薄れてしまうからだ。アジア最強の称号を維持して代表の価値を高められれば、日本―コロンビア、日本―メキシコといったようなカードでも、ひょっとしたら開催地に手を挙げるところが出てくるかもしれない。東南アジア開催国の代表チームも併せた「4カ国対抗」など、アイデアはきっといろいろとあるはずだ。

 ロシアW杯までの4年間、どのようにマッチメークしていくか。
 来年6月からはロシアW杯アジア予選がスタートする。1次予選、最終予選ともに前回より各組1チーム増えるため、最終予選に進出した場合の全試合数はザックジャパンの時と比べて4試合増える計算になる。また、アジア枠の「4・5」が削減される可能性も出ており、アジアの戦いがより厳しくなってくるのは間違いない。アギーレジャパンはアジアをしっかり勝ち抜きつつも、ザッケローニが語ったように対世界を見据えたマッチメークが極めて重要になってくる。

 その意味でもシンガポール遠征はヒットだった。次の第二弾を、楽しみに待ちたい。