若者が盛り上げる一次産業と地方移住、その魅力と課題---食べもの付き雑誌『食べる政治』『四国食べる通信』

佐藤 慶一 プロフィール
参加者の集合写真

地方移住を目指す人へのアドバイス

地方のものを売り込むのには、試行錯誤もつきものだ。佐々木氏は「地方と都会のニーズがマッチングしていない」と語る。このことについて真鍋氏は「ないものねだりよりも、あるものさがしをしようと思って活動している」と言う。テーマは「これまでにあるものを、これまでにない手法で」伝え、「シマとマチとトカイをつなぐ」こと。スーパーの店頭販売でポン菓子を販売する際にバリスタの格好をしたり、カフェではそうめんをイタリアン風にするなど見せ方を変えることを意識しているという。

一方、農音が活動する中島では、「丸中ブランド」が高級みかんとして名を馳せていた。しかし、JAの統廃合により、ブランドがなくなったことで、愛媛みかんとして一緒くたに売られてたため、さまざまな問題が出てきた。そこで農音では、ブランディングに注力しはじめた。単価を上げることで、生活を成り立たせることを目指すためだ。

続いて、真鍋氏は地方には「手間暇」があり、その想いを1000人に届けたい、と語った。『四国食べる通信』は隔月で 「冊子+食材」が届くというもので、1号につき3,980円となっており、立ち上げ半年で400人の会員を獲得している。これについて佐々木氏は「マイクロなのは大事。いま、ビジネスの世界では成長か持続性かという2つの方向性があり、後者が増えていると感じる」と語る。

最後に地方移住を目指す人へのアドバイスが投げかけられた。

農音には、田舎暮らしに夢を持ち、のんびりした暮らしに憧れる人からの問い合わせも多いという。地方と都会では文化が違うため、人間関係の構築はひとつのハードルとなる。農音では、移住促進の活動をするなかで、現地の文化をしっかり伝え、地元の方々を紹介したり、ざっくばらんに話す場を設けるなどしている。

「移住したときに、おかしなことをやったら『怒ってくれ』と伝えていたことが良かった。実際に怒ってくれたり、すぐクレームの電話が来たりする。最初に言っておくだけでも大きな違いになる」と真鍋氏。また、家が借りられない問題を挙げた。空家は多くあるが、仏壇がある家は明け渡せなかったり、都会の人は物が多かったり。真鍋氏はまずアパートに半年住みながら、自治会に入っていくことで空家情報をもらったという。これも経験者ならではのエピソードだろう。

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今回のイベントでは70人以上が集まり、おいしい料理を楽しみながら、参加者同士での話が盛り上がっていた。引き続き、雑誌(冊子)と食を通じて生産者の地位を高めたり、社会課題の認知・解決をおこなう新しい手法に目を向けていきたい。