『若者のすべて 1980~86「週刊プレイボーイ」風雲録』より【第3回】 ~第1章 パイレーツ オブ 九段~

結局、完成したのは夜の9時ぐらいになっていた。

実験レポートのように、その日なにが起こり、どう面白くて、そこにいた方々はこーんな事を言っていた、とまとめた。それで、いいかどうかは知らない。

できたデータ原稿を持って、中村さんのデスクを訪ねた。

「あのー、できたんですけど」

中村さんは、忙しそうにどこかに電話をかけまくっていた。その合間に、

「書けたの、そこ置いといて」

「帰っていいですか?」

「いいぞ」

「失礼します」

俺はバイトの任務を果たし、意気揚々と家に帰った。気がつくと、6時間ぐらいぶっ通しで作業をしていたのだ。俺は爆睡した。

だが、深夜11時、電話が鳴った。

「コミネか、中村です。デスクの石塚さんと替わるからさ」

「はっ?」

受話器が渡される音の次に爆声が響いた。

「てめぇー、殺すぞ!!」

烈火の如く怒ったモノクログラビアのデスクの石塚さんだった。

「その・・・」

「原稿になにが書いてあるかわからねぇー。すぐに来い!!」

電話は叩き切られた。俺は終電を乗り継いで、急いで編集部に戻った。

そこには、夜9時よりもさらにたくさんの人間が生き生きと動いていた。

(この方々は、なんなの?)

俺は不思議な深夜の世界を初めて見た。あとで知るが、この時間からが入稿の本番だった。

それよりも俺は、現実的に怖かった。マジな社会人の方々が、烈火の如く怒っている。こんなバイト、しなければよかった、と俺は心から反省した。

その怒りの先頭に立つ石塚さんが叫ぶ。

「てめぇーか、コミネってガキはよ」

「すみません」

「なんだこりゃ?」

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