『若者のすべて 1980~86「週刊プレイボーイ」風雲録』より【第2回】 ~第1章 パイレーツ オブ 九段~

で、その後は、その女子大生にあーだこーだと話しかけて、現場を盛り上げたのでした。つーか、それがアシスタントとしての俺の役目でありました。

このカメラマンは女の子に話しかけるのが不得意なので、「コミネがやったらいいじゃないか」とのことでおおせつかった役目でありました。

撮影は無事終了。

「きみ、面白いね」

と中村さん。

「どうもです」

「連絡先、よこしな」

ということで、俺は電話番号を、確か集英社の封筒の端に走り書きしたと思う。携帯もメールもない時代だった。

連絡は来ないだろうと思っていたら、1ヵ月後に電話がきた。そして、初めて編集部に行ったのでありました。

壁が白一色で光いっぱいの写真スタジオから、一気に海賊の酒盛りシーンのような編集部に来てしまった。今で例えるならば、南仏・地中海のリゾートから、一気にアフガニスタンの戦場最前線に来たような雰囲気だった。

俺はどーしていいか、わからなかった。

「おー来たな。ここ座れ」

中村さんのデスクの横にある椅子に座った。

「池袋のデパートの屋上で、2日後に学生プロレスの試合がある。それを取材に行ってほしいんだ」

「それがバイトですか?」

「そぉー、バイト。今まで、取材したことある?」

「ないです」

「まぁー、いいや。まず、これな」

中村さんは机の引き出しから自分の名刺を数枚取り出すと、それを俺に渡した。

「これは?」

「取材した相手に渡せ。中村の下でやってますと言うんだぞ」

「違う人の名刺でいいんですか?」

「おまえは『週プレ』として取材をしているんだから、それを証明するのがこの名刺だ。大丈夫。それから、これね」

中村さんは自分の財布から5000円を抜き出して、机の上に置いた。