[アジアパラ競技大会]
車いすテニス男子決勝「国枝vs.眞田」、勝敗を分けた“経験値”

スポーツコミュニケーションズ

国枝「出来は40点」

 それでも眞田は第1セットの前半は、決して悪くはなかった。自身のサーブゲームである1ゲーム目から、いきなり3度のデュースと接戦となるも、眞田はサーブで攻め、しっかりとキープした。さらに3ゲーム目はサービスエースも決まり、ラブゲームでキープした。

 一方の国枝も落ち着いたプレーで自分のサービスゲームをキープし、4ゲーム目を終えた時点で、セットカウント2-2。両者とも一歩も譲らない好ゲームの様相を呈していた。

 しかし、流れが変わったのは5ゲーム目だった。国枝がラリーを制して先行すると、さらに眞田のサーブに対してリターンエースを決めた。すると、ここで眞田は手痛いダブルフォルト。最後は再びラリー戦の末に国枝がフォアハンドの逆クロスを決め、ラブゲームでブレークした。これを機に、国枝が徐々に主導権を握り始める。眞田は集中力を欠いたプレーが目立つようになっていった。

 6ゲーム目、眞田は1本目こそ強打で奪って先行するものの、これ以降、眞田のショットの確率が低下の一途をたどっていく。サービスリターンが入らなくなり、ようやく入ったかと思えば、今度は思い切り打った得意のフォアハンドショットがアウトとなる。結局、国枝はウィナーが1本もない中で、相手のミスで簡単にキープした。

 とはいえ、国枝も自らの出来を「40点」と答えたように、決して内容が良かったわけではなかった。7ゲーム目をブレークして、ゲームカウントを5-2として迎えた8ゲーム目、国枝はなんと3本連続でダブルフォルトを犯した。最後は国枝が攻めきれなかったサーブに対して、眞田がリターンエースを決めてブレークバックに成功した。

 この時の心境を国枝はこう語っている。
「それまでは結構いいプレーが出ていたと思いますが、何か歯車が狂ったのか、あの辺からサーブに対して非常にナーバスになりましたね。3連続(ダブルフォルト)というのもここ5年であるかないかくらいだったので、少し気持ちが揺らぎ始めていました」

 眞田にとっては流れを引き寄せる絶好のチャンスだった。ところが、続く9ゲーム目、眞田は国枝に合わせるかのように2本連続でダブルフォルトを犯し、このゲームをブレイクされた。結局、第1セットは国枝が6-3で先取した。