オンライン学習サービスschoo WEB-campusとのコラボレーションで、世の中に新しい価値を生み出そうと挑戦する「起業家たちの原点」を紐解くインタビュー企画第2段、株式会社クラウドワークスの代表取締役兼CFO、吉田浩一郎さんをお招きしました。
【第1回】はこちらからご覧ください。
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― ドリコムのころにはすでに起業したいという気持ちはあったんですか?
吉田 はい。今となると「起業したいんです」という相談を受ける立場になりましたが、熱意の火っていつ消えるかわからないんじゃないかと思うんですね。その消える・消えないは人の器じゃあないかと思うんです。例えば、私は大学時代にクラシックバレエを習いだして、社会人でもクラシックバレエをやっていました。で、「クラシックバレエでプロになるってどういうことかな」と思って、熊川哲也の中学時代のフィルムを見たら、もうレベルが段違いだったんです。
― 熊川さんの見るからですよ(笑)。
吉田 その時にレベルの差にがくぜんとして、それでもうクラシックバレエをやりたいと思わなかったから、今はやってないわけです。熱意の火が消えてしまった。経営は熱意の火が続くから続けられている。
― 起業をしたいと思ったきっかけは何だったのですか?
吉田 きっかけは、やっぱり演劇で契約書ミスをした時ですね。みんなに迷惑をかけたので、社会を一度学んだ上でもう一回チームというものを作りたいという気持ちがありました。
― それで独立し、ZOOEEを立ち上げられた。中国でのワインビジネスやドバイの工事下請け派遣業、メンズスカートのECサイトの運営など、かなりいろんな事業をされていたんですよね。
吉田 はい(笑)。でも、やるたびに失敗してたんですよね。やっぱりオレはどうしてもやりたいと言って起業したら、3年やったあげくに役員に取引先を持って出て行かれたりしました。よく人生がんばったなと思う(笑)。
― それでもあきらめずに立ち上がる吉田さん……。メンタルが強靭ですよね。
吉田 さすがに36歳で役員が出てった時は人生終わったと思いましたね。取引先も出ていきましたから、もう人生全否定ですよ。人生やめたかった(笑)。
でも、これを起業のアドバイスにするならば、「失敗はなるべく早く、たくさんした方がいい」と思っています。「そのためには事業をひとつだけにしろ」という話をよくしています。要は、ふたつやっていると、失敗しても「1個に集中すれば成功したかもしれない」と思ってしまって、全然失敗にならないんですね。でも1個だけやると明確に失敗するんですよ。そうすると全力で事業の方向性を変えることができます。
やっぱり、出資を受ける方は1個だけの事業にして、それがたとえ超つまんない事業だったとしても、単なるカジュアルゲームでもいいから1個やりきる。メンズスカートの販売事業をやってみた時に思ったことです。メンズスカートの市場ってめちゃくちゃ小さいわけですよ。でも、それが当時わからなくて。やってみたことでこれほど小さいのかと思ったから、「大きな市場を選択しないとダメだ」という教訓が生まれて、メンズスカートを捨てた時にそれがひとつの大きな力になったわけです。とにかく、失敗するにしても、全力でひとつのことに集中して失敗する。その姿勢がとても重要かなと思っています。ダメージを恐れていてはダメです。大きいダメージを受けなくては人間は学べないので。
― まさに失敗から多くのことを学んできたんですね。
吉田 だから、熱意の火があるうちに何度でもチャレンジするべきなんです。それで失敗しても、まだ熱意を持てたならもう一回やればいいわけなんですよ。人それぞれの絵がある。熱意のかたまりというのは、誰にも何にも保証はできないんです。