「モバイルラーニングを通じて時間・場所・費用の制約を解消したい」---トーマツイノベーション・濱野智成氏に聞く

佐藤 慶一 プロフィール

「企業や経営者を支えたい」という原体験

濱野氏のバックグラウンドについても聞いた。15歳のときに父親が倒産した体験から、「父のような企業経営で苦しむ人をずっと見てきたので、そういう人を支えたいという気持ちが根源なパワーとなっています」と語る。

「企業や経営者を支えたい」という原体験のもと、勉学や仕事に打ち込んだ。父親の倒産を受け、経済的に大学進学が厳しくなった。しかし、父親の例をはじめ弁護士が経営者を救うことを間近で見たことで、弁護士となることを志す。そこで特待生で獨協大学法学部に進学した。大学では、目的もなく進学をする人の多さに違和感をもち、教育風土を変えたいと考えるようになったという。

しかし、弁護士資格の取得のためにはロースクールなど金銭面のコストがかかり、工面しきれないと思い、当時アルバイトをしていた外資系レストラン企業のアウトバック・ステーキハウス・ジャパン社長に相談した。すると「お前はなにになりたいんだ。弁護士は手段でしかない」と、根源的な部分を掘り下げられ、最終的には社会貢献がしたいというところに落ち着いた。

そのことはホスピタリティの業界でもできると言われたことで、大学3年から同社にマネージャーとして働きはじめ、そのまま入社した。しかしあるとき、視野が狭くなることを感じ、1年間オーストラリアに行く機会を得て、やりたいことを見つめ直した。

そこで原点に戻り、中小企業の経営を支えたいと思い、トーマツイノベーションに入社。学生時代や外資系企業での経験を経て、「若い世代がもっと自分の道を考えて進んでいくキャリアにも関心が生まれました。教育事業にはやりがいを感じています」。

このような背景をもつ濱野氏が手がけるモバイルナレッジの今後について聞いた。まずは導入企業を300社から1000社に増やし、年間10億円以上の売上規模にしたいという。アメリカではモバイルラーニング市場が50億ドル~122億ドルとも言われているとのことだ。「現在、日本においてはサービス提供者が少ないため、トップシェアを獲得していきます。まずはモバイルナレッジというブランドを確立し、さまざまなジャンルでの横展開をおこなっていきたいです」。

時間・場所・費用という制約を解消した先にあるのは、だれもがロジックツリーの書き方やプレゼンの極意を知っているといった社会。その実現に向けてトップシェア獲得は重要になる。「日本全国において企業教育にはモバイルナレッジ、モバイルラーニングといえばモバイルナレッジという状態にしていけたらと思います」。モバイルラーニングの先行事例としてさらなる展開を見せる2年目となりそうだ。