「モバイルラーニングを通じて時間・場所・費用の制約を解消したい」---トーマツイノベーション・濱野智成氏に聞く

佐藤 慶一 プロフィール

コンテンツ開発のモットーは「スクラップ&ビルド」

モバイルナレッジの業種比率は、「IT:28.3%、サービス:19.5%、製造:12.1%、建設:7.4%、小売:6.3%、その他:16.5%」となっており、内定者が可処分時間をつかってビジネスのマナーをはじめさまざまなコンテンツを学ぶ。

「新入社員研修しかない場合はどうしても詰め込み型教育で消化不良になり、現場で再教育をすることもあります。事前にオンラインで学び、研修期間にはインプットをアウトプットするという確認型の教育(=反転学習)を提案しています」(濱野氏)

初年度で300社導入と順調に見えるが、しかし、苦労もある。立ち上げは濱野氏とコンテンツ担当の2人でほとんどの業務をおこなった。いまではセールスやマーケティング、コンテンツ部門など機能別の組織づくりのもと、総勢14名で運営している。1年が経ち、成果と課題を聞いた。

「導入社数は当初の想定を超えました。また、1年で累積損失を解消しようと考えていましたが、事業化・収益化に着手できたことは大きいです。課題は『スピード感』が挙げられます。新規事業のリソースが足りないことが、コンテンツ開発や販売網拡大などに向けた課題となっています」(濱野氏)

当初、実施率や継続率が厳しいのでは、という声もあったそうだが、ゲーミフィケーションやランキング、ソーシャル機能を導入したことで、全クラス達成率も9割を超えた。学習はひとりではなかなか続かないため、ゲーミフィケーション面では平社員から社長になるシステムを取り入れ、学習の定着と自発性を促している。

SNSのようにニュースフィードへの投稿も可能だ。これによって、ユーザーの発信や企業側からのコミュニケーションも発生するため、利用率や学習定着度が高まった。また、継続教育を意識し、コンテンツを短くしている。

「コンテンツの問題開発では、自社の研修コンテンツの知見が生きました。しかしながら、結局のところユーザーに聞くしかないため、多数の大学でさまざまな企業の内定者にヒアリングを実施しました。『スクラップ&ビルド』をモットーに掲げ、どんどん洗練し、再構築することで、コンテンツのほとんどがユーザー調査に基づいたものを反映させています」(濱野氏)

このような地道なコンテンツ開発・サービス運営もあり、導入企業からは「内定者の不安を解消できた」「教えきれなかったビジネスマナーをプロの知見で教えることができた」という反響があり、満足度や継続率などは9割を超える。しかし、プレイヤーがほとんどいない市場創造型のサービスのため、今後は地道な実績づくりが必要だ。「まずは1000社導入を目指していきたい」と濱野氏は意気込む。