石川次郎 第3回 「編集長の仕事で重要なのは、どれだけ面白いヤツを編集部に引き込めるかでしょうね」

島地 勝彦 プロフィール

石川 「ブルータス」では、いい仕事をしてくれるなあと思わせるヤツっていうのは、だいたいが不良だったよね。

シマジ そうなんだよ。だからおれは自分が編集部一の不良であるように装っていた。部下たちに、お前の不良っぷりなんてまだまだだぞと訴えていたんだ。なんたって、おれたちは「プレイボーイ」を作っていたんだからね。

セオ 石川さんも仕事には大胆にお金を使うほうだったのですか?

石川 部下たちはそれなりに使っていましたけど、ぼく自身が使った金なんてものは知れたものでしたよ。だいたいシマジみたいに銀座のクラブに入り浸ることもなかったですしね。

ぼくが使うところといえばもっぱら自分がメンバーだった外国人記者クラブでしたから、タカが知れていました。銀座のクラブを3軒ハシゴすることを考えると、10分の1の値段でしょうね。それでも外国人記者クラブはメンバー同伴でないと入れなかったので、相手には喜ばれましたよ。

そういえば、運命的で面白い話があるんです。ぼくが広告局長になってまもなくシマジも同じ広告業界にやってきたんですよ。ぼくはエコカー、シマジはアメ車だったけどね。

立木 ジローちゃん、そのレトリックは上手い!

石川 シマジとぼくは仕事のやり方が全然ちがう。ぼくは外国人記者クラブでだいたい仕事を纏めちゃうんだけど、シマジの場合は広告部に大きなワインセラーを置いて、高級ワインを部下に持たせて毎晩大接待なんです。

それに広告業界はゴルフ好きが多い。シマジは中部銀次郎やサンドラ・パーマーといったゴルファーを呼んで、クライアントと一緒に接待ラウンドをさせる。とにかく力ずく。敵わないですよね。

シマジ そのころおれの中性脂肪は1500mg/dlあったんだ。血がドロドロで、体重も80キロあった。あのまま広告部にいたら死んでいたかもしれないね。結局1年しかいなかったけどね。