石川次郎 第3回 「編集長の仕事で重要なのは、どれだけ面白いヤツを編集部に引き込めるかでしょうね」

島地 勝彦 プロフィール

セオ 先週、今週とおふたりは石川親子を立て続けに取材しているわけですか。息子さんはイタリアンの料理人なんですね。

石川 そうなんですよ。シマジ、息子を応援してくれてありがとう。

シマジ セオにはまだ紹介していなかったかな。千駄ヶ谷にあるトラットリアなんだが、美味いし洒落てるし値段も安い、いい店だよ。

セオ 是非紹介してください。でも、安いといっても、シマジさんの安いってどれくらいですか?

シマジ 1人あたま5,000円くらいかな。

セオ それは安い。明日行きます。

石川 それはそうと、いまの編集者は可哀相だよね。会社自体に余裕がないから、なんだかセコセコしている。ぼくらの時代は創刊からいきなり儲けろなんて乱暴なことはいわれなかった。「なるべく早く黒字にしてね」とはいわれたけどさ。

シマジ そうだよね。開高健文豪は「取材費をケチると仕事が痩せる」と上手いことを言っていたね。

セオ 編集長の仕事として重要なことってなんでしょうか。まず石川さんから聞かせてもらえますか?

石川 社員もフリーも含めて、どれだけ面白いヤツを編集部に引き込めるかでしょうね。

セオ シマジさんは?

シマジ おれが「週刊プレイボーイ」の編集長になったときは、「こういう編集長の下なら命がけで働くだろうな」という理想像を自分自身で考えて、それを実行したんだよ。例えば、部下を人前では決して怒らない。とにかく褒めまくる。

あるとき自信満々で原稿を持ってきた部下がいた。おれは一行も読まずに「面白い!」といって返してやった。その部下が「どうして読んでもらえないんでしょうか?」と面食らっていうと「すべてはお前の顔に書いてあるよ」と答えた。

石川 うん、それってわかるな。

シマジ 男の世界には愛情を込めたハッタリが必要なんだよ。