「日本の技術」で社会を変える!
エンジニアたちの新興国奮闘記【後編】

海外でビジネスチャンスを広げながら社会にも貢献する日本企業が増えている。    ベトナムで大詰めを迎えつつある、二つの「日本式」プロジェクトを追った。

提供:外務省 www.mofa.go.jp/mofaj/
Text and Photographs by Chihiro Masuho/ COURRiER Japon

玉田工業の玉田常務。タンクに繊維強化プラスチックを塗布する設備を、ODAを活用して現地カウンターパートに譲渡する

【前編】はこちら

石油タンクで海外に挑戦

 ベトナムに進出する日本企業の数は、近年うなぎのぼり。現在、約1300社にもなる。その一つ、玉田工業は地下タンクや防火水槽の設計、製造を行う北陸の中堅企業だ。石油の漏洩対策を施したSF二重殻タンクの売り上げでは、全国トップシェア。今年、同社はハノイから車で3時間の港湾都市ハイフォンに子会社「タマダベトナム」を設立。同地に自社工場も建設中だ。

 ベトナム事業の中心を担う玉田善久常務(38)が、初めてこの国を訪れたのは4年前。現地企業に業務を委託するなど以前から接点があり、その流れを利用してベトナムを海外進出の足掛かりにしたいと考えた。

「国内市場はどんどん先細りしています。日本だけで仕事をしていくリスクをずっと感じていました」

 本格的にベトナムに進出しようというときに、ODAを活用した中小企業の海外展開支援制度があることを知る。調査企画書を提出したところ、採用。12年、ベトナムに3ヵ月滞在し、現地での二重殻タンクの有効性について調査を行った。

 それによって見えてきたのは、ベトナムの石油タンクの品質の低さだ。日本でも、老朽化したタンクからの石油の漏洩が社会問題になり、10年には消防法が改正され、漏洩対策が義務付けられた。ガソリンスタンドの建設が進むベトナムでも「日本と同じ社会問題が起きる」危険性を感じた玉田は、今度はベトナムで二重殻タンクを製造、普及させる企画書を提出。昨年7月から再びODAを活用して、自社の二重殻タンクを設置し、有効性を実証するプロジェクトを始めた。