田端信太郎×本田哲也×佐々木紀彦【第2回】「サラリーマン根性を捨て、本気で考え抜いた人が、人を動かせる時代」

「情報発信にはリスクも伴う」という発想が大事

田端 会場の皆さんは検索エンジンのSEM※1とSEO※2の違いは分かりますか? 

例えば、ある有名なサラダ油のブランドがありました。脂肪がつきにくい、というのが売りの健康食品っぽい売り方をしているものです。が、実はその商品に含まれている成分には発がん性があるという疑惑があったんです。で、商品名で検索すると「XXX 発がん性」というように、普通に検索結果に出てきたりします。これは明らかにコントロールできてないから、普通の計算結果の1ページ目に出てきてしまうんです。でも、一方テレビCMでは「XXX(商品名)で検索」と言っているんですね。広告的なキャンペーンサイトがあって、検索結果の一覧画面で、そのすぐ下には「XXXには発がん性があるかも」というようなニュース記事も出ている。これはトータルで言うと大惨事なんですけど、PRや検索結果、テレビCMなどを含めたコミュニケーション全体をトータルで見ている人がいないからこうなるんです。これは誰の責任なのかと言ったら、誰も責任を持っていないということになっています。まあ、「気付こうよ」という話なんですけどね(笑)。こういった事態はけっこういろんなところで起こっていると思います。

それで答え合わせなんですが、SEOとSEMというのは、分かりやすく言うと「コントロールできないもの」と「コントロールできるもの」なんです。そこが2014年の典型的なアンコントロールであって、影響力のあるものの代表例だと思います。

本田 やっぱり情報を発信していけば発信していくに比例して、危ないことも増えていくんですよね。しかもそれは水面下なので見えないんです。「やればやるほど成果と同じだけのリスクが広がっていく」という観点って、経営者層でも意外となかったりしますよね。先ほどの話じゃないですけど、急にトラブルが勃発したように見えてしまう。でも、それだけ大量に情報発信をしたなら、相応のリスクも広がっているということを誰かが何となく感づいていれば、普段から対応もできると思うんです。それができていないので炎上してしまう。アンコントロールな部分がけっこうある時代ですから、ますます「情報発信にはリスクも伴う」という発想が大事になってくると思います。

佐々木 そのノウハウがまだ全然貯まってない状況ですよね。

田端 しかも、うまく行ったら行ったでコントロールできないんですよ。アイスバケツチャレンジだって、やりだした人はまさか日本にまで届いてみんなが氷バケツかぶってるなんて思ってないだろうし。

※1SEO…Search Engine Optimization:サーチエンジンの検索結果のページの表示順の上位に自らのWebサイトが表示されるようにすること。
※2SEM…Search Engine Marketing:検索エンジンから自社Webサイトへの訪問者を増やすマーケティング手法のこと

第3回に続く。
(文・加藤敦太/写真・福田俊介)

田端信太郎(たばたしんたろう)
1975年石川県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータに入社し、BS/CSデジタル関連の放送・通信融合の事業開発、JV設立に携わったのち、株式会社リクルートにてフリーマガジン「R25」の立上げを行う。2005年、株式会社ライブドアに入社。ライブドアニュースの責任者を経て執行役員メディア事業部長となり、ライブドアのメディア事業の再生をリード。2012年、NHN Japan株式会社(2013年LINE株式会社に商号変更)執行役員に就任。広告事業部門を統括。2014年、上級執行役員法人ビジネス担当に就任。
本田哲也(ほんだてつや)
ブルーカレント・ジャパン代表取締役社長。戦略PRプランナー。世界トップ3のPR会社、米フライシュマン・ヒラード上級副社長兼シニアパートナー。1970年生まれ。セガの海外事業部を経て、1999年、フライシュマン・ヒラード日本法人に入社。2006年、グループ内起業でブルーカレント・ジャパンを設立し代表に就任。2009年に『戦略PR』(アスキー新書)を上梓し、広告業界にPRブームを巻き起こす。国内外の大手メーカーなどを中心に、戦略PRの実績多数。戦略PR関連の講演実績多数。著書に『その1人が30万人を動かす! 』(東洋経済新報社)、『ソーシャルインフルエンス』(池田紀行氏との共著、アスキー新書)などがある。
佐々木紀彦(ささきのりひこ)
NewsPicks編集長 執行役員。1979年福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、スタンフォード大学大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2012年11月、「東洋経済オンライン」編集長に就任。リニューアルから4カ月で5301万ページビューを記録し、同サイトをビジネス誌系サイトNo.1に導く。著書に『米国製エリートは本当にすごいのか?』『5年後、メディアは稼げるか』がある。
 

著者= 本田哲也、田端信太郎
『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。』
(ディスカヴァー・トゥエンティワン、税込1,620円)
戦略PRの第一人者とLINE大ブレイクの仕掛人が考える「情報爆発・消費者主導の時代に、人はどうすれば動くのか?」

amazonこちらをご覧ください。

楽天ブックスこちらをご覧ください。

編集部からのお知らせ!
ABJ mark

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標 (登録番号 第6091713号) です。 ABJマークについて、詳しくはこちらを御覧ください。https://aebs.or.jp/