田端信太郎×本田哲也×佐々木紀彦【第2回】「サラリーマン根性を捨て、本気で考え抜いた人が、人を動かせる時代」

上辺だけ美しくまとめても人は動かない

佐々木 本の中で印象的だったのは、一部のエリートが計算をして「人はこういう風に動くだろう」と考えてやったマーケティングというのはかっこ悪いという風に書かれていたところです。消費者に主権が移り、マーケター側には容易に操作できない領域が出てきた中で、その不確定さをうまく活用するというか、そこをうまく読んでいくためにはどういうことが大事になってくるんですかね?

田端 やっぱりサラリーマン根性はダメだと思うんですよ。保身は絶対ダメ(笑)。

佐々木 丸の内にケンカ売ってますね(笑)。

田端 「もしこの企画が炎上したらどうするんだ」とか「もしクチコミが盛り上がらなかったらどうするんだ」と上司が言うから、「ちゃんと仕込んであります」ってなるわけじゃないですか。つまり保身なんですよね。それで仕込みがバレて、かえって炎上しちゃったりして、みんな恥ずかしい思いをするわけです。

だから、企画の波がうまく来なかったら来なかったで、「まあ、それでいいじゃないか」という気持ちがあってもいいだろうし、「来なかったら来ないなりに、そんときは八方手を尽くして売り上げを何とかしましょう」という、そういう熱さがあれば何とかなるはずなんですよ。それを上辺でうまくやろうという風にするから失敗するんです。皆さんだって、サントリーの売り上げ計画を達成するためにお茶を買ってるわけじゃないですよね。あるいは、日産の新車発売メディア予算を削減するためにFacebookのシェアボタンを押すわけじゃないじゃないですか。当たり前ですよね。でも、発信する立場になるとそういう風に見てるわけですよ。だから、「何で計画通りに行かないんだ!」と怒りたくなる。

本田 PRのプロの立場から言わせてもらえば、PRってもともとアンコントロールなものなんです。広告なら枠を買えば基本的に言いたいことを言えるわけですが、それに対してPRというのは、編集の方やディレクターの方にある程度お任せしちゃうわけなので、必ずしも自分の言いたいことが言えるわけではありません。

いろいろやってきて思うのは、だんだんと「美しくまとめることが目的」になっている感じがします。実際に従事している方にはそういう自覚はないかもしれないですけど、「これは結果を出したいんですか?」と疑問に感じることがあるんです。

普通の人間で例えたら皆さんピンとくると思うんですけど、完璧な人間が完璧なデートを演出したとします。でも、全くスキがない人間が絶対モテるかと言ったら違いますよね。そりゃあ1から10まで全部ダメだったらまずいですけど、ちょっとドジなところもあるけど8割方は優しい人の方が人間味があって最後に勝つ、という事実もあるわけですよ(笑)。

そういったすごく当たり前の話をマーケティングのコミュニケーションにも当てはめた時に「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」という部分が出てくると思うんですよね。

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