世界の伸びている中小・ベンチャー企業に学ぶ、これからの時代を生き抜く8つのヒント

安西 洋之

(7)ソーシャルメディアには早く慣れるのが良い

よくマスメディアにも登場するお馴染みの「世界はボーダレスでフラットになっている」との見方は、特にインターネット産業の人たちの頭の中に強くある。他の業界の人たちも、当然ながらインターネットの恩恵を受けているが、両者の間の距離と時差は確実にある。

インターネット業界以外の人たちが、この距離をあまり焦って短縮しようとする必要はない。しかし、情報や勘所に敏感にならないことには先が見えにくい。現代の特徴は、状況が混沌として変化のスピードが早いことだ。

普段、ビジネスで海外と接することがなければ尚更、ソーシャルメディアを通じて海外との差異に対する感度を上げておくことを強く勧めたい。

(8)聞き飽きた言葉にこそ至上のエッセンスがある

流行している言葉(バズワード)には限界がある。普遍性が低く長期的な視点が欠ける。「敬意」「尊厳」「正義」「真理」という言葉が充分に血となり肉となる前に脇に追いやられてきたのが日本の近代以降の歴史かもしれない。

これらの言葉をもう一度、自分たちの生活に馴染みのあるところまで翻訳しなおして、実践にあたっての指標としていくとよい。どんな「小手先」のビジョンにも勝る。ブルネッロ・クチネッリのビジネスは、中小・ベンチャー企業が目指すあり方を端的に示している。

インタビューした企業の方たちの回答はどれも興味深いものでしたが、特にブルネッロ・クチネッリ氏の言葉には教えられる点が多かったと感じています。そのなかで学ぶべきことをあえて一つ挙げるとすれば、なぜ設立して30年少々で、170年以上の歴史あるエルメスと同格のブランド力を持てるのか? ということです。これは強いブランドとは最高級の素材で上級の職人技で最良の品質の製品を作るだけでは不十分で、企業の理念は世のなかで高い価値を持つとされる概念と合っている必要があるということです。

(第9章より抜粋)

安西洋之(あんざい・ひろゆき)
モバイルクルーズ株式会社代表取締役。上智大学文学部仏文科卒業後、いすゞ自動車入社。欧州自動車メーカーへのエンジンなどのOEM供給ビジネスを担当後、独立。1990年よりミラノと東京を拠点としたビジネスプランナーとして欧州とアジアの企業間提携の提案、商品企画や販売戦略等に多数参画している。国際交渉のシナリオ立案とデザイン企画を得意としている。また、海外市場攻略に役立つ異文化理解アプローチ「ローカリゼーションマップ」を考案し、執筆、講演、ワークショップ等の活動を行っている。

世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』安西洋之著
(1,706円,クロスメディア・パブリッシング)

米国、イタリア、ドイツ、フランス、英国、日本の元気な中小・ベンチャー企業に聞きました。「成熟市場で勝ち残り稼ぐ知恵とは?」国や文化の違いは障害ではなく商売のヒント! 日本企業のムダな敗北感は無用!?本書は、中小・ベンチャー企業の経営、マーケティング、海外事業展開を担当する方にとって必須の情報を盛り込んでいます。

Amazonはこちらから/楽天booksはこちらから