『世界の伸びている中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』(クロスメディア・パブリッシング)を上梓したミラノ在住のビジネスプランナー安西洋之氏。米国、イタリア、ドイツ、フランス、英国、日本といった世界各国の元気な中小・ベンチャー企業にインタビューを行い「成熟市場で勝ち残り稼ぐ知恵」を探った。
ここでは、本書のおわりに安西氏がまとめた「時代を先取りする中小・ベンチャー企業から得たヒント」を紹介する。
それぞれのインタビューに対するコメントは本書の文中及び章の終わりに書きましたが、ヒントになると思われる視点をここにまとめておきましょう。レベルが全て同じではありませんので、ランダムに挙げたポイントということでご理解ください。
「公私混同」はあらゆる分野で時差はあるが浸透しつつある。「ブラック企業」と呼ばれるか呼ばれないかは、ビジョンの社会的正当性が高いかどうか、普段から人間らしい生活を優先するように企業が努力しているかという2つの点によるところが多い。なるべく普通の生活に近い感覚を維持できている企業が、いつのまにかビジネスの先端を走っていたという日がくる。ブルネッロ・クチネッリやほぼ日が良い例だ。
この点を徹底しておけば、自分が考える理念に基づいたルールメイキングの方向に自信が持てることになるし、オープンであるための理由を関係者にはっきりと説明できるようになる。もちろんオープンにしない理由についても同様だ。何よりも強いブランド作りの基礎になる。
大企業が時代の先端にいるのではない。中小・ベンチャー企業こそが先端にいる。すべては小さなところからはじまる。その現場にいるのは中小・ベンチャーである。次の、日本のある大企業の方のコメントはこれを示唆してくれる。
「私自身は閉じた世界のなかにいるとの意識があります。だいたい同じ業界ですと、国内では棲み分けがある程度決まっていて、案外私たちは中小企業と会うことがないんです」
世界のリアルな姿に接しているという確信を持てていない。中小・ベンチャー企業が業界団体の国際化をはかりルールメイキングに参加する意義もここにある。現場不在のルールに中小・ベンチャー企業が振り回されてはいけない。