アミア・カーン(イギリス/元WBA・IBF世界スーパーライト級統一王者/29勝(19KO)3敗)
現時点で最も可能性が高いのは、英国の雄、カーンだろう。スピーディで魅力的なスタイルと甘いマスクを併せ持ち、メイウェザー同様、Showtimeと直接契約を結んでいる選手であることも大きい。近年は試合ペースが落ちていたが、今年5月には実力者のルイス・コラーゾに明白な判定勝ちで健在をアピールした。
アメリカでは知名度が高いとは言えないのが難点だが、イギリスのテレビ局が供給するビッグマネーのおかげで米英スター対決はビッグビジネスになる。
「メイウェザーはもう以前と同じレベルの選手ではない。スピードどストレートパンチが主武器の僕は、彼に勝つスタイルを持っている」
メイウェザー対マイダナ再戦後にメディアに囲まれたカーンは、そう語って宣戦布告していた。
アゴの弱さが弱点として付きまとい、いつ誰に番狂わせで負けても不思議はない選手でもあるだけに、Showtimeもこのあたりでビッグファイトに起用し、カーンを“換金”しようとしても不思議はない。12月には米国内で次戦を予定しており、この前哨戦に好内容で勝てば機運は高まるはずである。
ティモシー・ブラッドリー(アメリカ/元WBO世界ウェルター級王者/31勝(12KO)1敗)
スキルとタフネスを兼ね備えた元王者は、メイウェザー、パッキャオに次ぐウェルター級第3の実力者かもしれない。メイウェザーとの黒人対決がまとまれば、ハイレベルな技術戦になることは確実ではある。
ただ、パッキャオ同様にトップランク社所属だけに、メイウェザーをはじめ、超強力アドバイザーのアル・ヘイモンの息がかかった選手との対戦は現実的ではない。前戦でパッキャオに負けていること、米国以外へのアピールに乏しいこともマイナス材料。キャラクター的にも地味過ぎるため、メイウェザー対パッキャオのように、プロモーターの垣根を越えたファイトを無理にでも成立させようとする雰囲気は感じられない。
トップランク社傘下のウェルター級勢は層が薄いだけに、今後はマッチメイクには苦労しそう。12月にディエゴ・チャベスと復帰戦と噂されるが、次のビッグファイト登場はいつになるか。業界屈指の好漢でもあるブラッドリーが、徐々に試合枯れに陥っていくとしたら残念ではある。