教育・退職・介護という3つの課題を抱える「トリレンマ世代」---資産準備のために知っておくべきこと

『日本人の4割​が老後準備資金0円』第2章より

資金もノウハウも欠けた女性たち

50代女性シングルズの最大の弱点は、退職後の生活が描けておらず、しかもそのための資金を作り出すノウハウにも欠けていることです。

シングルズの女性は、年齢を問わず、退職前後で生活費の水準がどう変化するかを聞いた設問で、「わからない」と回答する比率が高いのです。女性シングルズの「わからない」と答えた方の比率は全体で30.8%と、男性シングルズ25.8%、既婚男性17.8%、既婚女性21.6%と比べて非常に高い数値です。また、老後のための資産形成として資産運用を行っているのはわずか6.2%にすぎず、代わりに預貯金での蓄えが過半数を占めています。

また、投資の原則、「長期投資」「分散投資」「時間分散」の3つとも理解度が低い水準にとどまっていることなどから、最も投資教育が必要なのが女性シングルズだと考えられます。

50代女性シングルズに総じていえることは、安全を重視してのことでしょうが、「現金預金で老後に備える」というスタイルをとっている、ということです。しかし、もともと相対的に年収が少ないのが50代シングルズの特徴になっていますので、その年収水準で十分な退職後の準備ができるとは考えにくいところです。事実、自身でも老後の準備ができるとは考えていない点も、なんとも悲しいところです。

【了】

野尻哲史(のじり・さとし)
一橋大学卒業。内外の証券会社調査部を経て、現在、フィデリティ投信株式会社にてフィデリティ退職・投資教育研究所所長を務める。10年以上にわたって個人投資家の資産運用に対するアドバイスを続けており、最近はアンケート調査から個人投資家の投資動向を分析した意見を多く発表している。公益社団法人日本 証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。著書には『株式市場の「死」と「再生」』(経済法令研究会)、『投資力』(日経BP社)、『退職金は何もしないと消えていく』『なぜ女性は老後資金を準備できないか』『老後難民 50代夫婦の生き残り術』(以上、講談社+α新書)などがある。

著者:野尻哲史
日本人の4割が老後準備資金0円 老後難民にならない「逆算の資産準備」
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