日本生まれの私が、英国オックスフォード大学に学部入学した理由

Road to Oxbridge オックスブリッジに憧れて〜学部編〜
オックスブリッジ卒業生100人委員会

北米とイギリスの大学制度の違い

これまで「海外の大学」とひとくくりにまとめてしまいましたが、国を選ぶのも難しい決断です。私は英語圏ということでアメリカ、カナダ、イギリスを視野に入れていたのですが、滑り止めでカナダの大学を一つ受けた以外は、結局イギリスの大学に絞りました。北米の大学では一般教養の授業を数年受けた後に専攻を決めるのですが、イギリスでは高校で「狭く深く」習う教科が一般教養の代わりになるという考えで、大抵3年で学部を卒業することができます。その分、大学受験の時点で専攻する教科が定まっていなくてはなりません。

私は生物系に進みたいと思っていたのですが、大学によりBiology(生物)、Molecular biology(分子生物学)、Biochemistry(生化学)、Biotechnology(生物工学)、Genetics(遺伝学)などと数えきれないコースがありました。願書にはなぜそのコースを志望するのかを明記するため、かなり具体的にそのコースを志望する理由が必要になります。大学入学時に何を専攻するか決めていない場合には北米の制度が合っているかもしれませんが、既に心が決まっている場合には、イギリスの大学に進学すると専門知識を存分に蓄積できる上、一年早く卒業できることになります。

オックスフォードを選んだ理由

次の選択は大学です。イギリスでは基本的に大学を6つまで受験できるのですが、オックスフォードとケンブリッジに限っては、どちらか一つしか受けられません。私がどうしてケンブリッジではなくてオックスフォードを選んだのかについては、各校の理系学部の構成の違いが鍵となります。ケンブリッジはNatural Sciencesといって、理系学部が全てひとまとめになった構造なのですが、オックスフォードでは生物、生化学、生理学などいくつかのコースがあり、どれかを選択しなければなりません。私は行動学などの動物レベルでの生物よりも、分子生物学などの細胞レベルの追究がしたかったので、オックスフォードの生化学に絞ることにしました。

そして前述の通りインターナショナルスクールで数学を克服した私ですが、高校3年の時点で物理という教科の食わず嫌いだけは払拭できず、Natural Sciencesに進んだ場合は物理を履修しなければならないかもしれない、という恐怖もありました。それに加え、オックスフォードの生化学は3年で学士が取得できるのみならず、4年で修士まで取れるものでした。日本やアメリカだったら4年で学士なのに、4年で修士取得はすごい!と感動したことを覚えています。

国際交流のみならず個人同士の理解につながるディスカッション

オックスブリッジなど一部の例外を除き、イギリスの大学では基本的に専攻ごとに授業を受けるので、交友関係は主に同じ専攻の学生たちになります。しかしオックスブリッジのカレッジ(学寮)制度のおかげで、私が毎日食事を共にする友人たちは、医学、心理学、言語学、物理学、地学などを専攻しており、自分の専攻以外について多くのディスカッションが行われました。地学専攻のイギリス人の友人が地震大国の日本に興味を持ち、地面が動くのはどのような感覚なのか教えてくれと頼まれたり、環境学に興味のある生物専攻の友人にマグロの乱獲を助長するから寿司を食べるな、と注意されたのを覚えています。

敬虔なキリスト教信者の友人と、進化論と聖書にある創造論を同時に信じることが可能かどうか語り合ったこともありました。完全な進化論支持者の私と、キリスト教徒でありながら理系専攻でもある彼女の価値観について議論することは、日本であまりキリスト教徒に出会ったことのなかった私には珍しい体験でした。過激な動物愛護団体に反発し、動物実験の利点を訴えるデモ行進に参加した友人の意見は、私自身が博士課程に進学後、人に動物実験について説明しなければならない時に参考にしています。

学業以外でも専攻を超えた交流がある。コックスとして、8人乗りのボートの舵を取っていた。